17歳の美少女、ビアンカ・デヴィンズの短い生涯と拡散された死

追い討ちをかけるネットの住民

ビアンカの事件の誤報と共に、クラークがDiscordに投稿した写真もすぐ拡散され、あっという間にInstagramにも流れ着いた。ビアンカの名前を検索したり「#ripbianca」というハッシュタグを見る度に、必ずその写真が目に留まる日が何日も続いた。当初Instagramは、写真を削除するためにあらゆる手を尽くしていると発表し、ローリングストーン誌の取材でも「他のユーザーが画像を再アップロードできないように対策を講じた」と語った。だがキムは、彼らの対応は「不十分です。自分たちが何をしたか、いかに迅速に削除したかを誇張しています」と言う。声明の中でInstagramはこう述べている。「Instagram全スタッフが、ビアンカの悲劇的な死に衝撃を受け、心を痛めています……こうしたことが二度と起きないよう、我々は今後も再発防止に努めて参ります。また学会関係者や研究機関と協力し、有害な画像や動画の検知機能の向上を目指します」

それから数週間、ネット市民はビアンカの遺族に無理やり写真を見せることにサディスティックな快感を得ているかのようだった。キムのFacebookのプロフィール画像のコメント欄に写真をアップロードする者や、スーパーで買い物中のリマーに、AirDropで写真を送り付ける者もいた。さらに4chanユーザーの中には「ヌキ画像」――女性の写真に射精することを指す用語――をキムに送りつける者もいた。後にこの男は、自らの行為を/r9k/のスレッドに意気揚々と投稿した。

ビアンカの元恋人ワードは、今も写真の悪夢を見ると言う。ぼんやりしていると、いつの間にかそのことばかり考えてしまっているそうだ。ビアンカの死後、彼は1人だけ付き合った女性がいるが、すぐに別れたという。「横になって抱き合っていると、『違う』って思ってしまう。隣にいてほしいのが誰なのか、自分でもよくわかっているんだ」と本人は言う。
メディアでは、大勢の人々がビアンカの死をネットで出会った人と直接会う危険性と結びつけたが、キムはこうした風潮を嘆いている。「確かに、ビアンカとブランドンはネットで知り合いました。でも今は2019年ですよ」と彼女は言う。「それがもう普通なんです」。 だがビアンカのネット友達はインターネットがビアンカを殺した、少なくとも彼女がいたコミュニティが彼女の死に繋がった、という意見にも一理あると考えている。「前は、俺と出会ったことが彼女の人生で最悪の出来事だと思っていた」と、ロングアイランドに住む元恋人ロブは言う。「(でも)俺とあんなことがあった後、彼女は学ぶべきだったんだ。ネットで会った人を信用しちゃダメだって」

コミュニティの女の子たち、特に最初に投稿された写真を目にしてしまった女の子たちにとって、ビアンカの事件は大きな警鐘となった。彼女たちはクラークの執拗な行動を、よくある追っかけの迷惑行為が行き着くところまで行った結果だと考えた。「みんな追っかけと会ったことがあるし、ネットで知り合った男の子とも会ったりしています。キモいのや、超キモいのに当たったこともあるし、中には殺してやると脅されたこともあります」とエリカは言う。「それでふと思ったんです、『もしかしたら私だったかもしれない。私たちのうちの誰かがこうなっていたかもしれない。でもたまたまビアンカだったんだ』って」

Translated by Akiko Kato

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