17歳の美少女、ビアンカ・デヴィンズの短い生涯と拡散された死

2019年7月に殺害されたビアンカ・デヴィンズ(写真提供:デヴィンズ家)



悲劇の朝

だが実際はこうなった。朝6時3分、Discordのビアンカのサーバーにメッセージが投稿された。「悪いな野郎供、追っかけするなら他の子にしな」というメッセージに、キャットラインを引き、黒いタンクトップを着た黒髪の若い女性の写真が添付されていた。喉がぱっくりと切り裂かれ、顔には血しぶきがかかっている。一見すると、低予算のホラー映画のスチール写真と見間違えそうだ。実際サーバーにログインしていた大勢のユーザーも最初はそう思った。「すぐには反応できませんでした――マジでグロかったし」。ビアンカのネット友達エリカは、ネットに投稿された悍ましい画像に例えながらこう語った。チャットのスクリーンショットを見ると、誰かが画像検索をかけ、画像の出所はどこだと尋ねているのがわかる。「俺の車だよ。ビアンカのバカ女をヤッたのさ」と、画像の送信者が返答した。そしてPewDiePieという名のユーチューバーのチャンネルに登録するようフォロワーに呼びかけた――クライストチャーチのモスクを襲った襲撃犯と同じ言い回しだ。

それから数時間、ビアンカの友人らは急ピッチで状況把握に奔走し、前夜の出来事が少しずつ明らかになっていった。ビアンカとクラークはコンサート会場で第三の人物と会っていた。彼は「Oipu」というハンドルネームで知られる人物で、掲示板の常連だった。Oipuとビアンカは同じネットコミュニティに参加していたが、2人が実際に顔を合わせるのはこれが初めてだった、というのが友人たちの意見だ。Discordで友達に送られたDMのスクリーンショットを見ると、彼女はいかにも年頃の女の子のようにその日の出会いについて語っていた。「彼ってすっごくいい匂いがする笑」「彼ったら完璧……恋しちゃったかも」。 警察によると、クラークが煙草の巻紙を取りに行った隙にビアンカはOipuにキスをし、恐らくクラークはその現場を目撃したのだろう。それ以来ビアンカからの音信は途絶えた。その日未明のDiscordのスクリーンショットによると、Oipuはクラークが「いやな奴で喧嘩腰」だったと言い、またビアンカとのキスが自分にとってのファーストキスだったと言っている。

午前7時21分、クラークが画像を投稿してから1時間が経過した頃、ユーティカ警察署に全国から電話が殺到した。「ビアンカ・ミシェル・デヴィンズという女性の穏やかならぬ写真」がDiscordに投稿されたという通報だった。人好きのする体格のいい40代前半のブライアン・コロマト警部補も、当時をこう振り返った。警察署にはクラークの家族からも電話がかかってきた。彼の叔母の家に、遺書と思われる走り書きの手紙が残されていたというのだ。クラークはInstagramのストーリーにも恐ろしい画像やメッセージを投稿していた。その中には「ごめんよ、ビアンカ」というキャプションがついた、血まみれの女性の腕の画像もあった。また彼は自分のプロフィールを書き換え、死亡日をその日の日付に設定していた。クラークの母親はローリングストーン誌の取材に対し、その夜クラークからFacebookでこんなメッセージが届いたと語った。「ごめんよ、ママ。愛してるよ」

Translated by Akiko Kato

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