米シラキュース大学の根深い人種差別問題 Airdropで送信された恐怖のファイルとは?

2019年11月14日、キャンパス内のバーンズセンターで座り込み抗議を行うシラキュース大学の学生(Photo by Jessica Tran)



根深い人種差別問題

こうした事件に対し、大学側も1人で外出するときは護衛をつけるよう生徒に呼びかけたり、校舎周辺のパトロールを強化するなど、それなりの安全強化措置は取っている。シラキュース警察のケントン・T・バックナー署長も記者会見を開き、FBIや州警察がマニフェストの捜査に当たっていると述べたが、これまでシラキュース大学の有色人種学生に対して「特定の脅威はなかった」と発表している。教職員や有色人種の学生らはそれだけでは不十分だと言い、大学側は自分たちの身の危険への心配に取り合わず、学内に蔓延る不安感や恐怖感を過小評価していると非難した。

特に注目すべきは、大学側が授業を休講する代わりに、構内を歩くときは護衛をつけて自分の身を守れと学生に呼びかけた点だ。「学校側は学生がこんな状況の中で生活するのにどれだけ不安を感じているかを理解するより、通常通り業務を行うことを最優先にしているんでしょうね」とジャクソン博士は言う。ついにはアンドリュー・クオモ州知事も乗り出し、学内のヘイトスピーチに対するシヴラッド学長の対応は、「このような無謀で、忌まわしい、非難すべき行為に対する州の厳しい姿勢を反映していない」と非難した(声明の中でシヴラッド学長は、ここ最近の事件を「非常に悩ましい」と表現している)。


2019年11月15日、シラキュース大学のギフォード講堂で行われたアジア系アメリカ人・アジア人留学生主催のフォーラムで、ケント・シバラッド学長の不在を叫ぶ学生(Photo by Jessica Tran)

シラキュース大学の有色人種の学生らがはっきりさせたいのは、この数日間の抗議はマニフェストや、以前から続く人種差別・反ユダヤ的な事件だけに対するものではないということだ。むしろ目的は、キャンパス内の多様性の問題に対する大学側の不適切な対応に、世間の関心を向けることにある(シラキュース大学の学生は圧倒的に白人が占める。フォーブス誌によると、学生全体の60%が白人でアフリカ系アメリカ人はわずか7%)。「哀しいかな、この学校では、マイノリティがトラウマになるような経験をするのがたった1回で済めばラッキーな方だ、というのが真実なんです。座り込みをして、学校側にどうにかしてくれと叫ぶのはもううんざりです」と、有色人種の学生は言った。学生運動家によるバーンズセンターの座り込みは、今度の水曜で1週間を迎える。この日の午後5時にはシヴラッド学長と会合を開き、彼らの要求に対する公式な返答を聞くことになっている。学長の返答次第では座り込みが終結する可能性もあるが、有色人種の学生たちが学内で不安と肩身の狭い思いをさせられてきた歴史に幕が下りることはなさそうだ。

「こうした出来事を個別の事件だと決めつけると、これが文化の一部だという事実に背を向けることになります」とジャクソン博士。「重荷を負わされている、社会から除外されてきた人々の体験を踏みにじることになるのです」

Translated by Akiko Kato

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