米シラキュース大学の根深い人種差別問題 Airdropで送信された恐怖のファイルとは?

2019年11月14日、キャンパス内のバーンズセンターで座り込み抗議を行うシラキュース大学の学生(Photo by Jessica Tran)



事件と不適切な対応に対する学生たちの抗議

有色人種の学生たちは、デイ・ホール事件に対する学校側の対応に怒りを爆発させた。以前から黒人コミュニティを狙った同様の事件が起きていたことも影響した。昨冬、有色人種の学生3人が4人の白人の通行人から襲撃を受けた。加害者のうち1人は、Nで始まる差別用語を使ったと言われる。この件に対するDPSの当初の報告書は、人種差別が理由の襲撃である可能性をはじめ、本質的な内容に触れていないとして、大勢の学生が非難した。

前年2018年の春には、工学部の学友会シータ・タウの入会の誓いの動画が広まった。入会を誓う寸劇の中でシータ・タウのメンバーは、黒人やユダヤ人、ラテン系の人々を人種差別的な言葉で侮辱した。学友会のメンバーは停学処分にされたが、学生らはあの動画はまさにキャンパス内に蔓延している慣習の好例だと考えた。「こうした行動は学友会に限ったことだと言えればいいのですが、実際はそうではありません」と、とある学生は大学新聞デイリー・オレンジ紙に語っている。「これはこの大学に存在する、潜在的排他主義の問題なんです」 学生たちは大学側、特にケント・シヴラッド学長の対応にも怒りを募らせている。シヴラッド学長は学生から意見を聞く集会に姿を見せず、#WheresKent(ケントはどこだ)というハッシュタグが生まれた。対応策としてシヴラッド学長は、学友会のメンバーを永久退学とし、デモ参加者と「差別や憎悪を徹底して拒絶する全ての人々に」感謝を述べた。

「やるべきことは山積しています。今日私が皆さんの前でお話するよりも、ひとつずつ着実に進めていくことが重要です」というメールをキャンパス全域に発信した。

大学側の腰の重さに業を煮やした黒人学生の活動家たちは、自分たちの不満を発信して行動を呼びかけるべく学生フォーラムを開催。それが先の座り込み抗議やハッシュタグ#NotAgainSUなどの集団活動へと発展した。バーンズ・センターの抗議参加者は、有色人種の学生が安心できる環境作りを目指す要求リストを作成。その中には、新規雇用者やスタッフに対する多様性の研修の義務化、ハラスメント不寛容の運営方針の制定などが含まれており、大学側が要求の受け入れると同意するまではバーンズ・センターを占拠すると宣言した。

だが、デイ・ホールの落書き事件の後も、学内のヘイトスピーチは野放しのままだった。14日にはさらに多くの建物に反アジア的な内容のグラフィティが描かれ、学生寮の前の雪には鉤十字が書かれていた。先週土曜日には、とある学生がすれ違いざまに、アフリカ系アメリカ人の学生に人種差別的な言葉を浴びせたという。その数時間後、学友会アルファ・チー・ローのメンバーの1人が黒人の女子学生にいきなり近づいて、人種差別的な侮蔑語で呼んだそうだ(アルファ・チー・ロー本部は関与を否定しているものの、大学側は事件以降、今学期中全ての学友会の活動を禁止した)。メキシコ系ユダヤ人の教授の元には、反ユダヤ的なヘイトメッセージが書かれた匿名のメールが送られた。メールには「オーブンに入れ、そこがお前の居場所だ」という脅迫的な文章も書かれていた。

Translated by Akiko Kato

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