白人の元警察官が黒人男性を誤って殺害、これまでの通例を覆した判決に

2019年10月1日(火)、陪審から殺人罪で有罪を言い渡されたあと出廷するダラス警察署の元警察官、アンバー・ガイガー被告(Photo by Tom Fox/The Dallas Morning News/AP)

元警察官のアンバー・ガイガー被告は、集合住宅の自分の部屋と黒人男性ボサム・ジーンさんの部屋を間違え、ジーンさんを侵入者と勘違いし、銃で殺害した。

アメリカの警察は何世紀にもわたって進化を遂げてきた。だが、黒人を殺しても免責されるのが当たり前で、この先もずっとそうだと思われていた。1619プロジェクト(訳注:アメリカに黒人奴隷が渡ってから400年を迎えるにあたり、ニューヨーク・タイムズが今年展開した報道シリーズ企画)さながら、警察は自分たちの南部のルーツをたどり、逃亡したアフリカ人奴隷やその子供たちを捕まえ、ジム・クロウ法をによる黒人差別を遵守させていた時代を振り返るべきだ。最新の学術調査によると、今日アメリカに住む黒人男性の約1000人に1人が、警察の手によって命を落とすと言われている。この数字が大したことないと思った人は、おそらく白人だろう。

常識や経験に加え、この数字こそが、我々の大多数がボサム・ジーンさんを殺したアンバー・ガイガー被告は罪を免れるだろうと考えた理由だ。まだ26歳だった若き会計士の遺族の表情からも見て取れるだろう。当時ダラス警察署の警察官だったガイガー被告は、ジーンさんが住むアパートのひとつ下の階に住んでいた。2018年9月6日、ジーンさんの部屋に入ったガイガー被告は、胸に一発発砲し、致命傷を負わせた。抗議の声をあげなくてはならない事態を予想し、ダラス郡裁判所に集まった活動家の意見からも分かるはずだ。ある黒人牧師は、のちにダラスモーニングニュース紙に「我々は最善が尽くされることを祈っていましたが、最悪の場合にも備えていました」と語った。

Translated by Akiko Kato

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