アイアン・メイデンの「価値」はファンが決めること スティーヴ・ハリスが語るその軌跡

アイアン・メイデンのベーシスト、スティーヴ・ハリス(Photo by Gonzales Photo/Terje Dokken/PYMCA/Avalon/Universal Images Group/Getty Images)



「フィア・オブ・ザ・ダーク」作曲の舞台裏

―セットリストにはあなたが作ったダークな曲がもう一つあって、それが「フィア・オブ・ザ・ダーク」です。あれは実体験に基づいたものなのですか?

いいや、違う。あれを作ったのは、俺がイギリスにある中世のめちゃくちゃ古い家に何年も住んだことがあるからさ。厳密には中世の家じゃなくて、15世紀に建てられた家だ。家がちょっと怖いと言って子供たちが俺に泣きついたものだよ。でも俺は「見てみろ、この家で一番怖いのはパパだぜ」と答えた。そんなふうに怖さをジョークにしていたんだ。

でも、この家は木造で、あちこちにひび割れがあった。おかげで気温が上がったり下がったりすると、木材が膨張したり締まったりするから、そのたびに軋んだ音をたてるんだよ。そういう音に敏感に反応する人も多かったけど、俺は全然平気だった。だって、そこに住んでいたからね。ただ、人の想像力というのはものすごいんだ。人は自ら進んで自分の五感を怖がらせる。だから、その感覚が影響しているのさ。とは言え、確かにあの家にも原因はあった。だって、あの家に幽霊がいると思った人が実際にいるからね。昔は本当にいたかもしれないよ。



―あなたの楽曲には宗教やキリスト教信仰がテーマのものも多いですよね。例えば「フォー・ザ・グレイター・グッド・オブ・ゴッド〜神名に捧ぐ」は今回のツアーでも披露する曲です。最近は宗教についてどんなお考えですか?

あらゆる宗教も、宗教に対するあらゆる考えも尊敬し尊重するよ。みんな、自分の人生を思い通りに生きられるべきだと思う。好きじゃないのは、自分の考えを他人に押し付ける連中だ。「フォー・ザ・グレイター・グッド・オブ・ゴッド」では、「神の名における大義とは異なることをしている人が多い」ということを歌っているんだよ。

―この曲は2006年のアルバム『ア・マター・オブ・ライフ・アンド・デス〜戦記』収録で、このアルバムがリリースされたときに、アルバム全曲をライブで演奏しました。あの経験から学んだことは何ですか?

たぶん、俺たちのファンにはアルバム全曲を聴くだけの忍耐力があることと、彼らは全曲通しで聴いても飽きなかったことかな。まあ、飽きた人が一人か二人はいたと思うよ。でも、あれはかなり大胆な試みだと思う。あの頃の俺たちはあのアルバムを心底信じていたんだ。そして、あのライブで演奏する曲を決めながら、俺たちは「どの曲を外そうか? いや、どの曲も外すのをやめよう。全曲演奏して、少しひねりを加えよう」と考えたんだ。とはいえ、あのライブはリスナーにとってはちょっと大変だったと思う、うん。でも、驚くほど上手く行った。俺も楽しんだよ。俺、挑戦が好きだからね。

Translated by Miki Nakayama

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