MOROHAインタビュー「矛盾こそが真骨頂、2つの真実を100%の気持ちで歌える強さ」

ー前作『MOROHA Ⅲ』が愛を感じるアルバムだとしたら、『MOROHA IV』はアフロさんが自分に向かっているようなアルバムだと感じました。メジャーでリリースしたり、Zepp Tokyoのワンマンが満員になるという状況に対して、否定から入ることが薄くなっていったのかなと思ったんです。その結果として、自分に対して活を入れる意味で「それでいいのか」みたいな投げかけをしているのかなとも感じたのですが、そういうことはないですか?

アフロ:昨日も取材日だったんですけど、逆のことを言う人もいました。「前回は尖っていた。今回のアルバムは愛が深くなった」って。どちらの方向を向いているのかは聴き手によって違うということがまず1つあるのと、自分に向けてだけじゃなく、相変わらず外に向けても腹が立っています。取材前、ユニバーサルのビルに対して、こんな立派な社屋を立てるくらいならアーティストに還元しやがれみたいなことを軽口で言いましたけど、相変わらずの性格の悪さと否定から入っちゃう部分というのは生きているので、あまり変わっていないんじゃないかなと思います。

5月29日にリリースされる最新アルバム『MOROHA Ⅳ』
新井英樹が書き下ろしたMOROHAのニューアルバム『MOROHA IV』のジャケットイラスト

ーそもそもアフロさんとUKさんは高校時代から一緒なわけですよね。これだけ長くいる2人が、いまどういう関係性なのかに興味があって。普段から結構一緒にいることが多いんでしょうか。

UK:プライベートは一緒にいないですね。

アフロ:勘弁してくれって感じだよね。

UK:(笑)。否が応でも一緒にいるので、返事1つで機嫌が分かったり、そういう感じの関係性ではありますね、今は。

アフロ:練習をして、ライヴをして、ラジオの収録もあるから、週4日は会っているんですよ。その上で、残りの3日も一緒にいたいかと言われたら、ちょっと勘弁してくれって感じですよね。しかも僕らはスタッフも少ないんですよ。未だに自分でライヴのブッキングをしたり、UKが物販のことをやったりする。結局、最小編成が動きやすくていいと俺は思っているので。

ー毎回MOROHAのMVを撮影している映像作家のエリザベス宮地さんも、最小編成の中の1人と考えていいんでしょうか?

アフロ:宮地さんは微妙な立ち位置で。言ったらカメラを撮る人なので、どこかで客観性を持っていてほしいし、あの人もアーティストだから。物販を手伝ってくれているモルタルレコードストアの山崎さんとか企画をやっている宮川(企画)さんとは、またちょっと俺の中では違いますね。

ーどこか緊張感というか、一線を置いているということ?

UK:僕たちに限らず、宮地さん自体、撮影する相手と1つ壁を設けているというか。僕らは全然宮地さんに踏み込んでいくところも、宮地さんはいい意味で踏み込んでこないので、そのへんは宮地さんも意識してやっているところはあると思いますね。

ー僕も宮地さんはよく知っているんですけど、ものすごくMOROHAのことをリスペクトしているなって感じることが多いです。

UK:最初は、こんなに毎回一緒にやるような感じではなかったんですよ。それこそ「40分」をやっているときはMVを作ってくれる人の1人みたいな。

アフロ : 決定的だったのは「三文銭」のMVで、さらにすげーなと思ったのは「バラ色の日々」のMV。宮地さんの方から、ギャラはいらないから作りたいって言ってくれたんですよね。本当に身を削って作ってくれたものだった。だからこそ、正直少し離れるときがあってもいいと思うんですよ。否定的なところから入るという自分の癖もあって、宮地さんとずっとやることがお互いにとっていいのかという思いもあるし、ソウルメイトというか、別個の仕事をしていもお互いに繋がっていられる数少ないアーティストの1人だと思います。


Rolling Stone Japan 編集部

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