モモコグミカンパニーの居残り人生教室「大学の恩師と語った幸せの話」

左からモモコグミカンパニー、有元健氏(Photo by Takuro Ueno)



モモコが感じていた違和感の正体とは?

モモコ:はい。私の場合、人間味をどんどん出していこうと思って活動してるんですけど、有元先生は学生の前で講義するとき、どんな意識で臨んでるんですか?

有元:その話、実はしようと思ってたんだ。僕の場合も同じ。演じてるところがある。

モモコ:私の中では、フレンドリーで人気者だけど、授業中の私語にはすごく怒ったりしていて、学生から愛されるような緩さを持ちつつ、厳しさもある先生というイメージでした。

有元:僕は大学生の頃、バーテンダーのバイトをしてたんだけど、バーテンダーってお酒を作ってないときこそ勝負で、常にお客さんの視界に入ってるわけだから、バーという空間の舞台設定の一つなのね。佇まい、声の大きさやトーン、身体の向きとか、バーテンダーとしての「演出」をしなくちゃいけない。それがお店の雰囲気にも反映されるから。今も自分の授業をするときに気をつけてるのはそういうこと。声のトーンや話すときの身体の角度。学生の真正面に立つと圧が強いから、斜めに角度をつけたり、黒板をうまく使ったりして、圧をわざと弱めて、緊張感を強いるときは逆に圧を強めたりする。そういう操作は自分の中でしてるかな。

モモコ:私は昔から先生に心を開くことができない人で、先生とすごく仲良くしてる生徒はみんな敵な気がしていて、だから有元先生もある意味で敵側かも?って思ってたんですけど、講義で話してるのを見てたら、私の卒論のテーマも理解してもらえるんじゃないかなと思って。

有元:たぶんモモコの場合、社会のはみ出し者じゃない人たちが作る集団の中で、ちょっとした違和感を感じてたんじゃない? 今の若い子たちは自分が満足できる「答え」を先送りにしたまま、受験に臨んでると思うんだ。中学校に入って勉強をするのはいい高校に入るためで、高校に入ったらいい大学に入るために勉強をする。勉強そのものから満足感を得られるかどうかは別だけど、これが30年くらい前だったら答えを先送りにした後、ある程度ちゃんとした解決策があったんだよね。つまりいい会社に入れますとか、マイホームを買って家庭を持ちますとか。でも今は先送りにされた後のゴールのイメージも流動化している。

モモコ:私がBiSHのオーディションを雑誌で見つけたときも、自分だけの道は何かないかって抜け道をすごく探していて。当時は大学を卒業して就職しようという気持ちがなくて、やる気もなかったんですよね。でも何もしないわけにもいかない。そんな状況でオーディションを受けたんです。

有元:そう考えると渡辺さん(渡辺淳之介/WACKの代表取締役)がモモコを採用したのって不思議だよね。

モモコ:そうなんですよね。当時はいいところが一つもなかったと思うので。

有元:でも『目を合わせるということ』(モモコグミカンパニー著)のインタビューで渡辺さんが言ってたよね。「(モモコを取るのは)自分の役目だ」って。僕も似たようなことを思ってて、他の先生に任せられない感じが当時はちょっとあった。「僕が見ないと」って(笑)。

モモコ:昔からヘンだとは言われてたんですけど、自分の中では全然ヘンだとは思ってなかったんですよ。むしろヘンって言う奴がヘンだって思いながら生きてきたんですけど、いざ人前に出て自分のことを客観視できるようになってから、「あ、やっぱりちょっとヘンだったんだ」って。



有元:距離感とかおかしかったよね。覚えてる? 最初この部屋に入ってきたとき、めちゃくちゃ近くまで寄ってきて話すんだもん(笑)。

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