2019年アカデミー賞総括:司会者不在によりスピーチで訴えた授賞式

最優秀作品賞を受賞した『グリーンブック』の面々(Photo by Kevin Winter/Getty Images)

今回のアカデミー賞を牛耳ったのは『グリーンブック』、『ボヘミアン・ラプソディ』、『ブラックパンサー』、『ROMA/ローマ』で、各作品とも複数部門で受賞を果たした。有色人種や女性が受賞する中、司会者なしの授賞式が功を奏し、プレゼンターと受賞者がハリウッドの変化や現在のアメリカについて雄弁に語るという新しい授賞式となった。

米現地時間2019年2月24日、日曜の夜に開催された第91回アカデミー賞授賞式は、MC不在というイレギュラーなセレモニーだったが、それにもかかわらず多様性、愉快なバカっぽさ、クイーンのギタリストであるブライアン・メイのゴージャスな白髪ロングヘアが人々の注目を集めた。司会不在でも授賞式は滞りなく行われ、『グリーンブック』、『ボヘミアン・ラプソディ』、『ブラックパンサー』、『ROMA/ローマ』が、それぞれ複数の部門で最優秀賞を獲得した。

クイーンとアダム・ランバートによる素晴らしいオープニング・パフォーマンスに続いて不格好な映画のモンタージュが続き、授賞式の始まりは今ひとつスムーズさに欠けていたが、司会不在の演出不足が逆にこの夜の授賞式を興味深いものへと変えたと言える。つまり、毎年繰り広げられるお決まりの寒い演出ではなく、賞そのものに注目が集まったのだ。黒人ピアニストとイタリア系アメリカ人の無骨者の間に生まれた奇跡の絆を描いた作品『グリーンブック』が見事に最優秀作品賞を受賞した。一方で、クイーンの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』はフレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレックの演技力、複数の技術部門で最優秀賞を受賞している。コミック原作の『ブラックパンサー』は技術系3部門を受賞した。1970年代のメキシコシティで暮らすある家族の家庭内の衝突とメキシコの社会的階級を描いた『ROMA/ローマ』は、この夜に観客の支持を最も得た作品で、最優秀監督賞(アルフォンソ・キュアロン)と最優秀外国語映画賞の栄冠に輝いた。

また、この授賞式の本質とも言える自由奔放さが、今回の授賞式では予想を超える楽しいサプライズを誘発するきっかけとなった。レディ・ガガとブラッドリー・クーパーによる『アリー/スター誕生』のオスカー受賞曲「シャロウ」は、観客も息を呑むほどの親密な雰囲気に溢れた最高のデュエットで、パフォーマンス中、観客を常に背景に置いた構図で放送されたのが画期的だった。メリッサ・マッカーシーとブライアン・タイリー・ヘンリーは、1999年から昨年までの衣装デザイン賞受賞作品をモチーフにしたドレスで登場して衣装デザイン賞のプレセンターを務めた。マッカーシーが着用した『女王陛下のお気に入り』の女王風ドレスには、同作品でオリヴィア・コールマンが撮影に苦労したウサギとの共演シーンをネタにした多数のウサギのぬいぐるみが飾られていた(マッカーシーは用意周到にウサギの指人形まではめていた)。この夜、最初の受賞作品のプレゼンターを務めたエイミー・ポーラー、ティナ・フェイ、マヤ・ラドルフは、自分たちがこの授賞式のMCではないことを面白おかしく強調し、フェイに至っては「ここに例年よりも長めに立って話し続けて、明日のUSAトゥデイ紙を見た読者には私たち3人がMCだったと思ってもらいます」と言い放った。

Translated by Miki Nakayama

タグ:

RECOMMENDEDおすすめの記事


Current ISSUE

RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事