2018年の音楽業界を物語る5つの数字

Spotifyにおける再生回数ランクの歴代第1位獲得のエド・シーランによるワールドツアー(Photo by Matt Jelonek/WireImage)

数多くのストリーミング・サービスのおかげで、音楽業界にとっては最もエキサイティングで移り変わりの激しい1年だったことだろう。ローリングストーン誌のコラムニストが、音楽業界のバロメーターとなった5つの重要な数字を分析しつつ、2018年を総括する。

音楽ビジネスは、好調のまま2018年を終えようとしている。Spotify、Amazon Music、Apple Music等のストリーミング・サービスの成長のおかげで、業界は2018年もまた繁栄を目の当たりにしてきた。Napster時代の落ち込みからの回復傾向は、(少なくとも当面の間)持続しそうだ。

一方でライブ音楽業界は、再び増収を記録した。つまり、Fortnite、Instagram、Netflixに人々が熱中する時代であっても、楽曲や芸術性には依然として一般大衆から収益を上げるパワーがあるということだ。しかし、全てが音楽業界の流れに沿っている訳ではない。例えば、配信ごとの支払いに関するYouTubeとのバトルは、世界中のレーベル、アーティスト、パブリッシャーを失望させる結果となりそうだ。音楽ビジネスのリーダーたちが年末年始の休暇をゆっくり過ごそうとしている一方で、最もエキサイティングで移り変わりの激しい業界のバロメーターとなる5つの重要な数字を分析するのも面白い。

1)  マイナス9億1000万ドル(約1000億円):ストリーミングの経済的弱点

今やストリーミングは世界的に、レコード音楽のビジネスに最も貢献している。ストリーミング・サービスは、2018年の1年間でアーティストや業界に96億ドル(約1兆670億円)をもたらしたと試算されている。世界の総貿易高の50%を超える。一方で、世界の音楽ストリーミング・サービスの有料ユーザー・アカウント数は、2億2500万を超えるとみられる。ちなみに昨年は1億7600万だった。Netflixの有料アカウント数(2018年9月末時点で1億3000万)を大きく上回る。

しかし、将来が期待されるストリーミング業界の成長は、もろく壊れやすい土台の上に成り立っている。財務関連費用の支出が主な要因で、Spotifyは2018年の最初の9か月間で5億2000万ユーロ(約655億5000万円)の純損失を計上。7000万近いユーザー数を誇る米国最大のストリーミング・プラットフォームPandoraも、同期間に2億8700万ドル(約319億1100万円)の損失を出し、合わせて9億1000万ドル(約1000億円)のマイナスだった。2017年は純利益がアップしたものの、2018年はこの2サービスのみで、年間を通じて10億ドル(約1100億円)以上の損失が見込まれる。

音楽のストリーミングはブームを迎えているが、収益性の高いビジネスモデルを構築できていない。この状況は、他部門の収入を増やすためなら音楽部門は赤字でも構わない、という一部の巨大企業の思うつぼだ。例えばApple。CEOのティム・クックは2018年初頭、Apple Musicについて「お金のためにやっているのではない」と発言している。Spotifyの創業者ダニエル・エクをぞっとさせるような言葉だ。

Translated by Smokva Tokyo

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