テクノロジーの進化で見えてきた「エンターテインメントの未来」

ラスベガスで建設が進められているMSG Sphereの完成予想図(The Madison Square Garden Company)

急成長を続ける人工知能技術、ソーシャルメディアの隆盛等、テクノロジーは人類にとって脅威であると同時に、音楽やテレビ、そしてスポーツ等の分野において、かつてなくエキサイティングな変革をもたらそうとしている。

Facebookが2016年の大統領選の結果を左右し、アプリがユーザーの行動を監視し、「携帯メール症候群」という医学用語が定着するなど、テクノロジーは間違いなく人々の生活を脅かしつつある。しかし危険性を孕んだその進化は、様々な面で我々の生活をより豊かで魅力的なものにする可能性をも秘めている。来るべき未来に備えるべく、エンターテインメントの概念を一変させるトレンドや商品、画期的発明について紹介する。クールなものから不気味なものまで、その内容は実に多様だが、向こう数年間のうちにこれらが我々にとってより身近なものになることは間違いない。人々がかつて思い描いた未来は、今確かに我々の目の前にある。

CGで蘇るエイミー・ワインハウス
サンプル
Photo Illustration by Gluekit

誰もがやがてはこの世を去るが、発達したCG技術は限られた一部の人間を蘇らせることができる。CG自体は目新しいものではないが(ブランドン・リーは1993年に『クロウ/飛翔伝説』の撮影中に逝去したが、CGによって蘇った)、近年その技術は著しく進化した。2016年公開の『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』では、ピーター・カッシング(1994年没)が1977年に演じたグランド・モフ・ターキンの役で登場している。視覚効果(VFX)アーティストたちはターキンの身振りや口ぶりを徹底的に研究し、カッシングの特徴を驚くべき精度で再現してみせた。「肌や髪の光の反射具合、微細な表情の変化、肌の紅潮など、人の顔を本物らしく見せるための要素は無数に存在します」そう話すDarren Hendlerは、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でジョシュ・グローリンをサノスへと生まれ変わらせたほか、2012年のコーチェラでトゥパックのホログラム・コンサートを実現させた、Digital Domain社のデジタル・ヒューマン部門のトップを務める。そして2019年には、エイミー・ワインハウスがホログラムで蘇る。その仕掛け人であるBASE Hologram社のCEOを務めるMarty Tudorによると、ワインハウスの再現に同様の技術を用いつつも、ステージ上に設置された鏡に反射させるというやり方ではなく、「軍事レベルのレーザー」を誇るEpson社の高級プロジェクターを使用するという。この技術により、浮かび上がる映像はより透けにくくなり、かつてないリアルさを実現することができる。特殊効果アーティストたちがディティールへのこだわりを深める(例:高精度の3Dスキャンによって、毛穴のより正確な再現が可能となった)一方で、CG技術は人工知能の導入によってさらに進化する可能性を秘めている。対象となる人物の映像をコンピューターが徹底的に解析することで、その人物の表情を極限までリアルに再現することができるとされている。この世を去った人々がいともたやすく蘇る時代、その到来はそう遠くない。ー Ian Failes

Translated by Masaaki Yoshida

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