テクノロジーの進化で見えてきた「エンターテインメントの未来」

ラスベガスで建設が進められているMSG Sphereの完成予想図(The Madison Square Garden Company)


ホームシアターで堪能するハリウッド
サンプル
Samsung

AV機器の最新モデルが次々に発表される近年、マニアたちは毎年のようにテレビやスピーカーシステムを買い替えている。企業がうたう映像や音質の向上を大衆が実感できるケースは稀だが、新たに発表された以下の2製品は、そういった状況を覆す可能性を秘めている。

体全体で感じるサウンド
居心地の良さという点では自宅のリビングに敵わなくとも、映画館は音質の面で優位に立つ。しかし、多くの映画館が導入しているDolby Atmosと呼ばれる3Dサウンドフォーマットを採用したホームスピーカーは、その定説に真っ向から挑んでみせる。従来のサラウンドシステムとは異なり、Atmosは高さという要素を重視する。天井に向かってまっすぐ伸びたそのスピーカーが掲げる「圧倒的な臨場感」を誇るサウンドによって、ユーザーは画面に映ったジェット機が自身の真上を飛行しているかのような感覚を味わうことができる。Atmosを採用したホームスピーカーは2014年頃から市場に出ているものの、コストの高さとシステムに対応するタイトルの少なさがネックとなりシェアを伸ばすことができずにいたが、その状況は大きく変わろうとしている。500ドル以下で購入できるAtmos搭載ホームスピーカーの登場、Appleの4KテレビのAtmos対応、そしてNetfllixに対抗する形でAmazon Primeが3Dサウンドフォーマットのコンテンツ配信を始めたことなどが、同システムにとって大きな追い風となっている。

かつてない高画質
一般ユーザーの多くが4K LCDテレビへの移行を検討している現在、サムスンが開発を進めている製品は、テレビという概念そのものを塗り替えてしまう可能性を秘めている。3.6メートルという大型サイズに対し、厚さはわずか数センチという”The Wall”のマイクロLEDパネルは、既発製品とは比較にならないほど鮮やかな映像を映し出す。また小型のLEDパネルをつなぎ合わせるという”The Wall”のコンセプトは、将来的にユーザーのニーズに応じてディスプレイの形状や大きさを決定できるようになる可能性を秘めている。企業向け製品は現在プレオーダーを受け付けており、幅1.8メートル厚さ1センチという一般ユーザー向け製品は、2019年の発売が予定されている。
Jesse Will

ハイテク・サウンドとレトロ・パッケージの融合


トーマス・エジソンが発明して以来、レコードのカッティング技術はほとんど変わっていない。今やレアとなったダイレクト・メタル・マスタリングというコンセプトが70年代に生み出されて以来、同分野が40年以上にわたって停滞していることを考えれば、起業家たちがそこに刷新の可能性を見出したのは必然といえる。そうして誕生したコンセプト、それがハイ・デフィニション・ヴァイナルだ。現在プロトタイプを開発中の同製品は、収録時間を最大で1.3倍ほど延長することができるほか、音質を著しく向上させると言われている。最大のポイントは、電気メッキを施した金属製プレートの代わりに、レーザーでカットされたセラミック製のスタンパー使用する点だ。「レーザーを使用することで、機械による圧力や温度干渉を受けることなくスタンパーを作成することができます」オーストリアに拠点を置き、「完璧なグルーヴ」をキャッチコピーに掲げるHD Vinylの創設者、Gunter Loiblはそう語る。「従来の方法では一番最初に刷られたものと10,000枚目では音質に差がありましたが、HD Vinylのシステムでは両者の間に違いは生まれません」現在はテストプレスの実施を検討中とされており、同分野のエキスパートたちはビートルズ等のクラシックな作品がその対象になると予想している。作品の第一弾は2019年後半に発表が予定されている。ー Jesse Will

インタラクティブTVでストーリーを自在に
サンプル
Netflix

最近はテレビ一台で様々なことができる。しかしまだ不十分に感じている人は、ストーリーを自ら決められるというNetflixのインタラクティブ・プログラムに興奮するかもしれない。2017年、Netflixは子供向けの『Puss in Book』と『Buddy Thunderstruck』の2タイトルにおいて、そのコンセプトを試験的に実施した。そして10月には同社が『Black Miror』(12月に新シリーズが公開される、テクノロジーの恐るべき一面を描いた人気SF)のインタラクティブ版エピソードの制作に取り組んでいるという情報が漏洩したほか、ある別のアクション系番組でも同様の試みがなされていることが明らかになった。その主なターゲットとされているのは、2000年以降生まれの若者、いわゆるジェネレーションZだ。「コンテンツがインタラクティブであることは、彼らにとっては当たり前なのです」トレンド予想のエキスパートSparks & Honeyで、Cultural Strategy部門を率いるAndrew Hawnはそう話す。「ソーシャルメディアで評価を付けることから、マルチプレーヤー式のビデオゲームまで、あらゆるコンテンツにおいてインタラクティブであることは今や不可欠な要素となっています」ー Paul Katz

Translated by Masaaki Yoshida

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