2018年の音楽業界を物語る5つの数字

2) 104億ドル(約1兆1500億円):ますます堅調なライヴ音楽業界

2018年のテイラー・スウィフトは、物議を醸している“スロー・チケッティング”戦略により、クイーン・オブ・ポップからクイーン・オブ・収益戦略となった。

Pollstarの調査によると、スウィフトのレピュテーション・スタジアム・ツアーのチケット平均価格は、世界全体で119.46ドル(約1万3200円)なのに対し、米国では218.57ドル(約2万4000円)だった。スウィフトは世界ツアーの53日間で3億4500万ドル(約380億9000万円)を稼ぎ出したが、その内およそ2億7700万ドル(約306億円)は米国市場からの収入だ。

しかし、2018年のツアー売上ナンバー1はスウィフトではなかった。エド・シーランの世界ツアー・チケットの総売上高は4億3200万ドル(約476億9500万円)で、ツアー・チケット売上の年間最高額を記録した。ちなみにエド・シーランの米国内ツアーのチケット平均価格は、スウィフトの半額以下の92.39ドル(約1万円)だった。

総合的に見ると、2018年はライヴ音楽業界にとって絶好調の年だった。Pollstarによると、世界全体でのコンサート・チケットの売上枚数は1億5210万枚で、売上も過去最高の104億ドル(約1兆1480億円)を記録したという。その内上位10組のアーティストだけで20億ドル(約2210億円)を稼いでいる。

3)  11億4000万回:ストリーミング時代における史上最高の楽曲

2018年におけるSpotify最大のヒット・ソングは、間違いなくドレイクの『God’s Plan』だ。2018年1月にリリースされた同曲の再生回数は、12か月で11億4000万回を超えている。Spotifyにおける再生回数ランクの歴代第9位に入る記録だ。第8位はジャスティン・ビーバーの『Love Yourself』(11億5000万回)、第7位:ルイス・フォンシ&ダディ・ヤンキー『Despacito(リミックス、ft. ジャスティン・ビーバー)』(11億7000万回)、第6位:メジャー・レイジャー『Lean On』(11億9000万回)、第5位:エド・シーラン『Thinking Out Loud』(12億3000万回)、第4位:ポスト・マローン『Rockstar』(13億6000万回)、第3位:ザ・チェインスモーカーズ『Closer』(14億3000万回)、第2位:ドレイク『One Dance』(16億1000万回)、第1位:エド・シーラン『Shape of You』(20億1000回)となっている。

ドレイクが2018年のSpotifyで最も多く再生されたアーティストになったことは、全く不思議ではない。彼の作品は、年間を通じて82億回再生された。Spotifyからアーティストとしてのドレイク(および楽曲とレコーディングの権利保有者)に対して支払われる金額は、年間約5700万ドル(約62億9300万円)と推定される。

一方YouTubeでは、状況がかなり異なる。2018年に最も再生回数の多かったのは、ニオ・ガルシア、ダレル、キャスパー・マジコ(ft. バッド・バニー、ニッキー・ジャム、オズマ)による『Te Boté(リミックス)』で、4月にアップロードされて以降、14億9000万回再生されている。ちなみにSpotifyで1位だったドレイクの『God’s Plan』は、9億107万回だった。2018年にYouTubeへ新たにアップロードされ最も視聴されたミュージック・ビデオの第2位は、マルーン5の『Girls Like You(ft. カーディ・B)』(14億7000万回)、第3位はニッキー・ジャム&J・バルヴィンの『X』(14億2000万回)だった。

注目すべきトレンドもある。ダディ・ヤンキーとバッド・バニーがYouTubeをきっかけに世界的なラテン・ブームを起こしたように、2019年はボリウッド・ポップが盛り上がりそうだ。インドのレーベルT-Seriesのチャンネルは現在、ゲームにもなったPewDiePieを凌ぎ、YouTubeで最もポピュラーなデスティネーションを目指している。

2019年に計画されているSpotifyのインド進出や、業界からの注目の高まりにより、インドの音楽製作者たちが世界のチャートでかつてないほど活躍するだろう、とする見方もある。

Translated by Smokva Tokyo

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