クイーン最大のヒット作『世界に捧ぐ』あなたが知らない10のこと

Richard E. Aaron/Getty Images


9. 両手でのタッピング奏法はヴァン・ヘイレンの1978年発表のデビュー作で世に広まったが、その数ヶ月前にブライアン・メイは「イッツ・レイト」で同テクニックを披露している

両手でギターの指板を叩いて対位旋律を奏でるタッピング奏法は60年代から存在したが、エディ・ヴァン・ヘイレンが大々的に駆使して以来、そのテクニックは80年代のハードロックとメタルの代名詞となった。ヴァン・ヘイレンの1978年発表のデビュー作はギターの概念を大きく覆したが、実は『世界に捧ぐ』収録曲の「イッツ・レイト」のソロにおいて、ブライアン・メイは両手でのタッピング奏法をいち早く実践している。

「ある人物からパクッたんだ。そいつもZZトップのビリー・ギボンズからパクったらしいんだけどね」メイは1982年にRecord誌にそう語っている。「テキサスのとあるクラブでそいつがハンマリングをやってるのを見て以来ずっと、自宅で密かに練習し続けてたんだ。「イッツ・レイト」のレコーディングの際に、その成果をようやく発揮できたってわけさ」同曲に収録されているソロには満足しているというものの、メイは両手タッピングを自身のレパートリーに加えようとはしなかった。「あれはライブの場で再現するのが難しいんだよ」彼はそう話している。「かなり難易度の高い技だからね。我慢強く続けてれば自慢のテクニックのひとつにできたかもしれないけど、そこまでやる必要性を感じなかった。飛び道具的で、俺のスタイルには合わなかったんだ」

10. SF系アーティストのフランク・ケリー・フリースによるジャケットは、約25年前に彼が手がけた雑誌の表紙イラストが元になっている

観音開きの『世界に捧ぐ』のジャケットでは、巨大なロボットが意識を失っているブライアン・メイと流血しているフレディー・マーキュリーをすくい上げており、そこから落下するジョン・ディーコンとロジャー・テイラーが描かれている。そのイラストはマッド・マガジンをはじめ、様々なSF系出版物に作品を提供しているフランク・ケリー・フリースによるものだ。大のSFファンであるロジャー・テイラーは、Astounding Science Fictionの1953年10月号の表紙イラストをいたく気に入っていた。死体を掌に乗せた巨大なロボットが描かれているそのイラストには、「お父さんお願い…どうか直してあげて」というキャプションが添えられている。

バンドはテイラーの意見を採用し、「世界に捧ぐ」のジャケット用にイラストを描き直して欲しいとフリースに要請した。「過去4作が自宅に送られてきたよ」同作の発売直後に行われたインタビューで、フリースは作家のメル・ヴィンセントにそう語っている。「でもそれらを聴く前に、私はイラストを描いてしまうことにした。彼らの音楽が気に入らなかったら、モチベーションをなくしてしまうと思ったからね」フリースはクラシック音楽のファンだったが、自身でも驚いたことにクイーンの音楽にとても魅力を感じたという。「クラシック音楽の要素をはっきりと残しつつ、すごく先進的でもあると思った」彼はそう話している。「様々な音楽に精通している彼らの多様なバックグラウンドが、バンドという容器の中で複雑に溶け合っていると感じた」

Translated by Masaaki Yoshida

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