クイーン最大のヒット作『世界に捧ぐ』あなたが知らない10のこと

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3. 「ウィ・ウィル・ロック・ユー」と「伝説のチャンピオン(ウィ・アー・ザ・チャンピオン)」は、あるコンサートでの観衆の反応がきっかけで誕生した

『世界に捧ぐ』の冒頭を飾るストンピング・アンセム「ウィ・ウィル・ロック・ユー」とドラマチックなバラード「伝説のチャンピオン」(全英チャート最高2位、全米5位を記録)の2曲は、アメリカのラジオ局ではペア扱いでプレイされることが多かった。今ではスポーツにおける定番とされている両曲が誕生したきっかけは、1977年5月29日にスタフォードのBingley Hallで行われたコンサートにおける、過度に盛り上がったオーディエンスの反応だった。「『ウィ・ウィル・ロック・ユー』は、オーディエンスの存在がバンドそのものよりも大きくなりつつあったことに対する反動から生まれたんだ」メイは2002年にGuitar World誌にそう語っている。「ファンはあらゆる曲を合唱する。Bingley Hallでは客が盛り上がりすぎて、俺たちは演奏をやめて彼らに歌わせるしかなかった。それがきっかけでフレディと俺は、客が参加することを念頭に置いた曲っていうアイディアを思いついたんだよ」その直後にメイは「ウィ・ウィル・ロック・ユー」、フレディは「伝説のチャンピオン」を書き上げている。

4. フレディが書いた「伝説のチャンピオン」は「気取りすぎている」として、当初他のメンバ−3人はアルバムへの収録に難色を示していた

「あの曲を書く時に思い描いたのはフットボールだった」フレディ・マーキュリーは「伝説のチャンピオン」について、1978年にCircus誌にそう語っている。「ファンが一緒に合唱することを念頭に置いた曲を書いてみたいと思ったんだ。ありがちなフットボールアンセムなんかじゃなくて、オペラのようなデリケートさを持った曲をね」壮大さはクイーンの音楽とライブにおけるアイデンティティとなっていたが、「伝説のチャンピオン」のメッセージは傲慢だと捉えられかねないとして、当初他のメンバーたちは同曲に難色を示した。「初めて曲を聴いた時は、さすがに気取りすぎだと思った」メイは2008年にGuitay World誌にそう語っている。「俺たち全員でフレッドにそう伝えたよ。でもあいつは、あの曲の持つポジティブなエネルギーがオーディエンスの心を一つにするって確信してたんだよ。大勢の観衆が全員であの曲を合唱する、そういう光景を思い浮かべてたんだ」



5. 「伝説のチャンピオン」におけるブライアン・メイのギターソロは、完成間際の土壇場で収録された

「伝説のチャンピオン」のクライマックスを飾るギターソロは、ブライアン・メイが残した数々の名パフォーマンスの中でも屈指だが、当初のバージョンに収録されていたソロは全くの別物だったという。「あの曲のギターは、比較的早い段階で録り終えてた」メイは1993年にGuitar for the Practicing Musician誌にそう語っている。「全員その出来に満足してたと思う。曲を書いたのはフレディだったから、曲のミキシングもあいつが担当してた。完成は翌朝に持ち越されたから、俺は半分程度ミキシングを終えた状態のテープを持ち帰ったんだ」

しかしそのラフミックスを聴き返した時、メイはそのギターソロが楽曲を締めくくるには「弱すぎる」と感じた。「俺はフレッドに『もう一度やらせて欲しい』と頼んだ。特に注意を払ったのは、フレッドが圧倒的なヴォーカルパフォーマンスを見せる終盤の部分で、俺はそれに見劣りしないギターを聴かせないといけなかった。音源だと感じとるのは難しいかもしれないけど、まるでヴォーカルとギターが絡み合っているように聴こえるんだ。奇跡的な瞬間を捉えたんだよ」

Translated by Masaaki Yoshida

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