オスカー女優ティルダ・スウィントン、自身が選んだ代表作を振り返る

ティルダ・スウィントン(Photo by Denis Makarenko / Shutterstock)



『ミラノ、愛に生きる』(2009年)

スウィントンが『サスペリア』のルカ・グァダニーノ監督の作品に初出演したのは、1999年のスリラー作品『The Protagonists(原題)』だ。グァタニーの監督は、ある事件に関わった女性の悲劇的な運命を官能的に描いたこの作品で見事にブレイクした。製作が軌道に乗るまで数年かかったものの、スウィントンは一向に気にしなかった。むしろ、気に入っていたようだ。

「監督の処女作によく出演しますが、いつも思うんです。『半年延期になったからといって、心配はいらない。これで良かったんだって、あとになってわかる。もう1年台本にじっくり取り組めたことは絶対に後悔しない』って。私はどちらかと言うと怠け者なので、待つのは苦じゃないんです」



「大切なのは、キャラクターの外見を丁寧に構築していくことです。動き方や話し方だけでなく、どんなことを言うのか、その人が置かれる環境やその人だったら部屋にどんなものを置くかにも注意を払います。私が演じたエマというキャラクターは、最悪の履き心地のフェラガモの靴を履いていました。本当はこんなこと言ったらいけないけど、事実なんだから仕方ないわよね。そしてエマはどちらかと言うと保身的な人物です。[ここでスウィントンがぐっと肩を前に出して猫背になって実演してくれた]エマは心臓を大事に守りながら、とても慎重に肩を前に出して猫背気味に歩くんです」

『少年は残酷な矢を射る』(2011年)

ライオネル・シュライバーの長編小説をリン・ラムジー監督が映画化した本作では、母親不適合者としての自分に気付く女性が描かれている。それは、当時のいくつかの作品を結びつける主題でもあったとスウィントンは語った。



「私自身が母になったことと多少はつながりがあったと思います。私は母親になることや母親として経験するあらゆる苦境にとても興味があった。その頃出演した『ディープ・エンド』『少年は残酷な矢を射る』『ミラノ、愛に生きる』『Julia(原題)』は、母親になることを主題とした四重奏でした」

「私自身、非常に恵まれていたと思います。子どもに関してもそうです。私は母親になる覚悟があった。まさに準備万端でした。でも不思議なことに、生まれた子ども——私は双子を生みました——を見た瞬間、波のように愛に包まれるのを感じたんです。次に安堵を感じました。『ちょっと、なんで安心してるの? ひょっとして、別の結末が待っていたかもしれないから、ほっとしたわけ?』と考えたことを覚えています。私の魂が別の結末があり得ることを直感していたからかもしれない。だって、実際そうなった女性を知っているから。これは私自身、追求するべき主題だと思ったの」

『オンリー・ラバーズ・レフト・アライヴ』(2013年)

スウィントンのコラボレーターとしておなじみのもう一人の人物がジム・ジャームッシュ監督だ。この作品では、スウィントン演じる女吸血鬼が繰り広げる、永遠に血を吸い続けなければいけない吸血鬼カップルのアンニュイな日常が描かれている。ニューヨークを拠点に活動するインディーズ映画の神様とはとてもウマが合うと話してくれた。

「この映画は大好きです。長いこと観ていないけれど、とても美しくて、いつまでも記憶に残る作品だと思います。ジムは偉大な芸術家ね。初めて観たアメリカのインディペンデント映画が『ストレンジャー・ザン・パラダイス』だった。主題はアメリカですが、そこで生きるよそ者が描かれている。私も同じような状況だったので、とても思い入れの強い作品です。きっと監督はエイリアンのために、アメリカ人を代表して地球を題材にしているのかもしれません」



「ジムはロックスターであり、アウトサイダーの芸術家でもあります。中核を担う人物なのに、いつも部外者という立場を維持している。外国から来て、外国で暮らす芸術家として心から尊敬しているわ。彼がアメリカ人だということもすごく重要なんです。だって彼は私のアメリカ人のいとこのような存在だから」

Translated by Shoko Natori

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