『暗黒への挑戦』(1975)
アース・ウィンド&ファイアーが映画『スウィート・スウィートバック』のサウンドトラックでデビューしたように、彼らのチャートトップに輝いたアルバムもまた映画から生まれたものだった。シグ・ショア監督の1975年の大コケ作『ザッツ・ザ・ウェイ・オブ・ザ・ワールド』だ。バンドは「グループ」という名で出演もしている。ハーヴェイ・カイテル演じる生意気なレコードプロデューサーが率いる、R&B衣装を着けた注目の新人バンドという役柄だ。アース・ウィンド&ファイアーのボーカルでパーカッショニストのフィリップ・ベイリーは、自身の回顧録『Shining Star』のなかで、このアルバムのレコーディングについて「スピリチャルな体験」であり、特に滑らかなタイトルトラックについて「モーリスが僕たちに聴かせてくれた完成版は、僕らの声が天使のように感じられた。まるで神が僕らを導いているようだったんだ」と綴っている。実際のバンドの成功は、映画よりもずっと勝っていた。映画は2006年になるまでDVDさえリリースされなかったが、映画と同タイトルのアルバムは1975年のベストセラーの1つとなり、ついにはトリプル・プラチナ作品となった。


『シング・ア・ソング』(1975)
アース・ウィンド&ファイアーの1975年の2枚組アルバム『灼熱の狂宴』は、ツアーで多忙だった彼らのベストライブにおける様々な側面を味わうことができるが、含まれなかったものもある。それは、『シング・ア・ソング』の五重唱だ。ギタリストのアル・マッケイは、公演を控えた自身の衣装部屋で、モーリス・ホワイトに聴かせる前にこの曲を象徴するリフを思いついた。そしてホワイトは歌詞はシンプルで楽観的なままに、伝染性のあるディスコ的なヒーリングパワーに満ちた音楽を書いた。チェス・レコードの同僚チャールズ・ステップニーとプロデュースし、ホワイトは10年前にエタ・ジェイムズやフォンテラ・ベースのために制作したサウンドを再現&アップデートしたのである。結果、ビルボードR&Bチャートでナンバーワンを記録し、『灼熱の狂宴』は300万枚を超えるセールスとなった。

Translation by Sayaka Honma

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