【シカゴ音楽旅行記Vol.4】音楽好きが集う「夢のホテル」 グルメも観光も味わい尽くす

Virgin Hotels Chicagoの屋上ラウンジ「Cerise」から見える夜景。DJの音楽とともにカクテルが楽しめる(Photo by Shiho Sasaki)

世界有数の音楽都市、シカゴの知られざる魅力に迫る観光レポート連載【シカゴ音楽旅行記】(全4記事)。第4回は音楽と夜景、カクテルが一緒に楽しめる、お洒落でロケーション抜群のおすすめホテルを紹介。さらにグルメや観光の必見スポットにも足を運んだ。


必ず食べたい「3大名物料理」

シカゴといえば「食」の街、旅行といえばご当地グルメ。絶対に外せない「3大名物料理」もしっかり味わってきた。

初日のランチはPortillo's。1963年創業、家族経営の小さな屋台から全米規模のチェーンに成長したシカゴを代表するファストフード店で、3大名物のうちの2つがここで味わえる。観光人気の高いリバーノース店は、レトロアメリカンな内装や開放感のある吹き抜けがテーマパークっぽい。


Portillo'sリバーノース店の外観(Photo by Shiho Sasaki)


内装もファストフード店とは思えないエンタメ感。シカゴの英雄マイケル・ジョーダンのユニフォームも飾られている(Photo by Shiho Sasaki)

Portillo'sのホットドッグは地元民にも愛されており、シカゴ出身のチャンス・ザ・ラッパーはある時期、Uber Eatsから2日に1回ペースで注文していたほど。大きなピクルス、トマト、刻んだ玉ねぎ、青唐辛子などを牛肉100%のソーセージと挟み、マスタードとセロリソルトで味付け。シカゴスタイルはケチャップ厳禁で、山盛り具材の味と食感がそのまま組み合わさるため、酸味も塩味も感じつつ素材の味を堪能できる。かなり美味しい。

イタリアン・ビーフも人気の逸品。じっくり煮込んだスライスビーフを、はみ出すほどのボリュームでロールパンに挟み込む。旨味が染み込んでおりジューシーでつゆだく。日本で「牛丼パン」と例えられてきたのも頷ける。


左からイタリアン・ビーフ、ホットドッグ。激甘なシェイクも個人的には好き(Photo by Shiho Sasaki)


Portillo'sの紹介映像。盛り付け方も食欲をそそる。激甘のシェイクも個人的には好きな味

2日目は1966年にオープンしたシカゴピザの老舗、Giordano’sに向かった。前述したミレニアム・パークのすぐそばに店舗があり、ランチの時間帯も大盛況。広い店内はスポーツバーの要素もあり、複数台あるモニターではシカゴ・カブスの試合中継が流れていた。

シカゴ産のディープディッシュ・ピザはその名の通り、深さのあるタルト型の器に生地を敷き、具材の上にこれでもかとチーズとトマトソースをかけて、じっくりとオーブンで焼いたもの。注文から焼き上がりまで待つこと30分、見たことのない分厚さのピザが運ばれてきた。どこまでも伸びるチーズには思わず仰天! 何層も詰まった中身は濃厚こってりで、生地のサクサク感も癖になる。


チーズがこーんなに伸びる!(Photo by Shiho Sasaki)


Giordano’sの店内。壁の「EAT PIZZA」が自信を覗かせる(Photo by Shiho Sasaki)


Giordano’sによるピザの作り方。想像以上にチーズが盛り盛り


クルーズツアーとシカゴ美術館、おすすめ観光スポット

音楽漬けの旅行でも、観光の定番はバッチリ楽しみたいもの。まずは人気クルーズツアー「Chicago Architecture Center River Cruise」に参加した。シカゴ川の支流に沿って建築様式の変遷を確かめ、ナレーターの解説で学びながら壮観な高層ビル群を見学。2階建ての船「ファーストレディ号」にはバー設備もあり、屋外デッキでドリンクも楽しめる。


クルーズツアーの様子。90分間どこを向いても絶景が広がる(Photo by Shiho Sasaki)


写真中央のSt. Regis Chicagoは2020年に完成。女性によって設計された世界で最も高い建造物で、3棟のビルは波打つような曲線のフォルムが特徴的(Photo by Shiho Sasaki)

特にテンションが上がったのは、ウィルコの名盤『Yankee Hotel Foxtrot』のアートワークでもお馴染みのマリーナ・シティ。1967年に完成したトウモロコシ型のツインタワーは65階建てで、人気イベント「Gospel Brunch」でも知られるライブハウスHouse Of Bluesも施設内にある。19階までは駐車場で、上層階に約900世帯が入居しているそうだが、このなかで暮らすというのはどういう感覚なのだろうか。



マリーナ・シティはクルーズツアーの序盤でお目見え(Photo by Shiho Sasaki)


クルーズツアーの前後に、シカゴ川沿いのリバーウォークもおすすめ(Photo by Shiho Sasaki)


「Chicago Architecture Center River Cruise」の紹介動画。写真を撮りまくってしまうこと間違いなし

続いてはシカゴ美術館へ。クルーズツアーの乗り場からは徒歩15分。かの有名な「ルート66」のスタート地点や、シカゴ交響楽団の本拠地シンフォニー・センターが真向かいにあると現地で知り、文化的シンボルの密集度に驚かされた。


ルート66といえばナット・キング・コール、チャック・ベリー、ローリング・ストーンズも取り上げた「あの曲」が聞こえてくる(Photo by Shiho Sasaki)


リッカルド・ムーティ指揮、シカゴ交響楽団の演奏によるベートーヴェン「第九」。シンフォニー・センターからシカゴ美術館まではたったの80m!


シカゴ美術館に到着。ライオン像は定番の撮影スポット。ここからミレニアム・パークまでは徒歩3分(Photo by Shiho Sasaki)

シカゴ美術館は全米2位の敷地面積を誇り、展示の膨大さも評判どおり。じっくり鑑賞するなら1日がかりでも足りないが、今回は90分の駆け足コースで見て回ることに。

ここでしか見れないスーラの点描画『グランド・ジャット島の日曜日の午後』は、その緻密さや色彩に感動を禁じ得ない。モネやルノワールなどの印象派コレクション、ゴッホ『自画像』グラント・ウッド『アメリカン・ゴシック』エドワード・ホッパー『ナイトホークス』といった当館の人気作も見応えがある。


『グランド・ジャット島の日曜日の午後』。映画『フェリスはある朝突然に』でザ・スミスの名曲「Please, Please, Please, Let Me Get What I Want」(劇中で流れるのはドリーム・アカデミーによるカバー)とともにフィーチャーされていたのを思い出す(筆者撮影)


収蔵作品は30万点以上、そのうち約2000点が展示されている。館内はフラッシュを焚かなければ写真撮影OK(Photo by Shiho Sasaki)


天窓に色鮮やかなフィルムを張り巡らせた、マーガレット・ホンダのアート作品『Double Feature with Short Subject』(Photo by Shiho Sasaki)

個人的にはハンマースホイによる1907年の室内画も印象深い。ピアノ、チェロ、バイオリンが置かれた部屋にはモノトーンの静寂が漂い、上質なアンビエントミュージックにも通じる穏やかさを感じた。撮影担当の妻は、ちょうど読み終わったリチャード・パワーズの小説『黄金虫変奏曲』に出てくるマグリット『自由への戸口』が嬉しかったそう。自分ならではのお気に入りを見つけるのも楽しい。


ハンマースホイ『Interior. The Music Room, Strandgade 30』(Courtesy of the Art Institute of Chicago)


マグリット『自由への戸口』(Photo by Shiho Sasaki)

ちなみに、シカゴ美術館を含む主要アトラクションをまとめて回るなら、Chicago CityPASSを購入するのが断然お得。入場料が最大48%割引となるうえ、ファストパスや優先エントリーの特典つき。スマホにアプリをDLすれば簡単に使える優れもので、シカゴ美術館への入場も驚くほどスムーズだった。

スカイデッキ・シカゴ360 CHICAGOといった展望施設や、グリフィン科学産業博物館フィールド博物館でのミュージアム巡り、さらにシェッド水族館アドラープラネタリウム建築リバークルーズまで。この街ならではのアクティビティを存分に体感できる。


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