イリノイ州シカゴは芸術、建築、グルメ、エンタメの宝庫として知られている。ミシガン湖を背景に超高層ビル群がそびえたつこの街は、古き良きアメリカの景観を受け継ぎつつ、「21世紀で最も成功したパブリック・アート」と呼ばれるクラウド・ゲートをシンボルとするなど、新旧を融合させながらユニークな発展を遂げてきた。さらにシカゴは、世界有数の音楽都市としても名高い。ジャズやブルース、ゴスペルのメッカで、110年の歴史を誇るシカゴ交響楽団を有し、ハウス・ミュージックやジューク/フットワーク発祥の地にして、オルタナティブ・ロックやヒップホップの一大拠点でもあり、マディ・ウォーターズからカニエ・ウェストまで音楽史に残るアーティストを何人も輩出してきた。
「The Bean(豆)」の愛称で親しまれているミレニアム・パーク内の巨大オブジェ、クラウド・ゲートは2006年に完成し、『地球の歩き方』でも表紙を飾っているシカゴの象徴。鏡面加工が施され、覗き込む角度やシチュエーションによってさまざまな表情を見せる構造は、この街のあり方にも通じるものがある(Photo by Shiho Sasaki)筆者が宿泊したVirgin Hotels Chicagoの25階にあるイベントスペース「Upstairs」の壁画。カニエ・ウェストなどシカゴ出身ミュージシャンが描かれている(Photo by Shiho Sasaki)今回のシカゴ滞在で大いに感激したGreen Millにて、アラン・グレシック・スウィング・オーケストラとカート・エリングの共演現地を訪れて実感したのは、シカゴの音楽コミュニティを特徴づける先進性とルーツへの敬意が、歴史の蓄積と豊かな環境づくりによってもたらされてきたこと。知れば知るほど奥が深く、「住みたくなる街」としてのデザインは学ぶところが多い。
米旅行誌コンデナスト・トラベラーの読者投票で
「米国No.1の大都市」に8年連続で選出され、国内外から年間6000万人以上が訪れるなど観光人気も圧倒的。日本での知名度は今ひとつかもしれないが、この街は今こそ発見されるべき唯一無二の魅力で溢れている。
羽田空港からオヘア国際空港まで直行便でおよそ12時間、音楽好きのためのシカゴ観光レポートをお届けしよう。
※【シカゴ音楽旅行記】は全4記事
続きは以下をクリックVol.1:歴史と文化を受け継ぐライブハウス、夜を彩るブルースとジャズの老舗Vol.2:パンク愛から生まれた「遊園地みたいな」音楽フェス・Riot FestVol.3:ストーンズも憧れたブルースの聖地、チェス・レコード訪問記Vol.4:必ず行きたいグルメと観光、音楽ファンを魅了するおすすめホテル※取材協力:ブランドUSA、シカゴ観光局Photo by Shiho Sasaki