オフスプリングが語る、結成40周年の真骨頂が詰まったパンクのエネルギー

Photo by Daveed Benito

オフスプリング(The Offspring)が前作『Let The Bad Times Roll』から3年振りのニュー・アルバム『SUPERCHARGED』をリリースした。バンド結成から40年、大ブレイクしたアルバム『Smash』から30年という節目ではあるが、『SUPERCHARGED』の音楽は今なおフレッシュで、あらゆる意味でのオフスプリングの真骨頂が詰まっているのに驚かされる。力強いタイトルが象徴するように、音楽性、リリックの内容、曲の持つエネルギーとヴァイブスなど、オフスプリング節が全開なのだ。来年4月にはシンプル・プランをスペシャル・ゲストに迎えての来日公演も決定。オリジナル・メンバーでギタリストのヌードルスに話を聞いた。

ー前作『Let The Bad Times Roll』は『Days Go By』から9年振りのリリースでしたが、ニュー・アルバム『SUPERCHARGED』は前作から3年しか経っていないですよね。めちゃくちゃクリエイティブじゃないですか。

ヌードルス:非常にクリエイティブな時期だったと思うよ。『Let The Bad Times Roll』を出した後も制作を止めてなかったんだ。ツアーに出てもその合間にレコーディングをやってたんだ。ボブ・ロックに飛行機で僕たちのところまで来てもらったり、僕たちからボブのいるマウイとかバンクーバーまで行ったりして、1~2週間スタジオ入りして。そこから1数月オフを取って、また1~2週間スタジオ入りする、というのを繰り返してた。このやり方が上手くいったんだよね。

ーちょうど制作期間はコロナ禍とかぶっていますよね。

ヌードルス:『Let The Bad Times Roll』を完成させたのはコロナ禍の最中で、アルバムを出した後、1年半ぐらいツアーができなかったんだ。『SUPERCHARGED』は思ったよりも早く完成した感じはあるね。「Light It Up」とか「The Fall Guy」といった曲はかなり早くから出来てた。逆に、「Looking Out For #1」のような曲はどんどん変わって今の形になったんだ。



ー新作の曲はどれもオフスプリングらしさに満ちているのですが、非常にフレッシュなんですよね。タイトルも『SUPERCHARGED』だし、コロナ禍にエネルジーをチャージしまくって、今はそれを放出する時なんだという印象を受けました。

ヌードルス:実際そういう風に感じてたからね。コロナ禍でライブができなかったから、とにかく音楽をやりたくて。だから、リハーサルをやるしかなかったんだ。メンバー全員のリズムもしっかりと合わせたし、ライブでもさらなるパワーを注ぎ込めるようにした。それはスタジオ制作でも同じことで。このアルバムのドラムは、前半はジョシュ・フリースが担当してるんだけれど、後半は1年前に新メンバーのブランドン・パーツボーンが叩いていて。スタジオでも驚異的なプレイを見せてくれたよ。彼のドラムはとにかくパワフルでクレイジーだから、リズムが崩れてしまうんじゃないかと思うこともあったけれど、非常に正確だったし、確かなテクニックに裏付けされてるんだよね。

ー今回もプロデュースはボブ・ロックが手がけていますが、バンドとの相性は抜群ですよね。ちょうどオフスプリングの公式YouTubeでボブとの対談を観たばかりですが、メタリカで有名なボブは、実はバンクーバーのパンク・シーンの出身だというのを知って、どこか納得できたんですよね。オフスプリングもボブもパンク・ロックをベースにしながらも、グッド・ミュージックを追求しているという部分では一致しているので。

ヌードルス:その通りだね。昔のボブは9時から5時までスタジオにいて、CM用のジングルなんかを録る仕事をやりつつ、夜になると、地元のパンク・バンドのレコーディングをやってたんだ。ボブはそのままスタジオで寝て、朝起きると再びCMの仕事に取りかかってたわけだ。70年代後半のバンクーバーのパンク・バンドのほとんどは、ボブともう一人の男が手がけてるんだよ。ボブと僕たちは好きな音楽の方向性が同じで、パンク・ロックの話もたくさんするし、ほぼどんな音楽にもオープンなんだ。「Make It All Right」を聴けばわかると思うけれど、あの曲にはビーチ・ボーイズも入っていれば、ラモーンズも入ってるんだ。




ーオフスプリングにとってのグッド・ミュージックとは?

ヌードルス:僕たちはメロディが大好きなんだ。多くのパンク・バンドにはそれが欠けてるし、特にハードコアとなると、怒りと激しい音ばかりになってしまう。僕たちはちゃんと耳に残る曲を作りたいんだよね。シャワーを浴びながら口ずさめるような曲だ。それが僕たちにとっては常に重要なことで、耳に残るような良い曲で、聴くと何かを感じてつながりを持てるようなものを作りたいんだ。

ーちなみにメタルは好きですか?

ヌードルス:もちろん。少しだけどね。ブラック・サバスの『Paranoid』はオールタイム・フェイバリットだし、ディオも好きだし、メタリカも聴く。



ー何故この質問をしたかというと、アルバム収録曲の「Come To Brazil」はスラッシュメタルじゃないですか。

ヌードルス:間違いない(笑)。いつもデクスターがリフやメロディを持ち込むんだけど、そこから曲をスタジオで形にしていくんだ。僕たちの間でいつもウケることがあるんだけれど。SNSを見てると、バンドが何を投稿しても熱狂的なファンが「Come To Brazil」(ブラジルに来てくれ)って書き込んでくるんだよね(笑)。僕たちはそれを面白くおかしくするとともに、ブラジルのファンに向けてのラブレターを作ろうと思ったんだ。それでどういうサウンドがハマるんだろうと考えた時に、スラッシュメタルだなと思って。それがアンセム的なコーラスになって、「オーレーオレオレオレー」へと展開したら最高だと思ったんだよ。

ーあの曲の超メタルなギター・ソロも最高ですよね。ああいうギターは今までに弾いたことがありますか?

ヌードルス:ないね(笑)。あの曲と「Get Some」のギター・ソロはかなり派手だよね。あれを弾いた時はスタジオで爆笑したよ。

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