TAIKINGとYONCEが語る「足跡」をテーマにしたコラボ曲、Suchmos休止以降の3年半

左から、YONCE、TAIKING

TAIKINGがフィーチャリングにYONCEを迎えた新曲「Footprint(feat. YONCE)」を配信リリースした。シンガーとのコラボ楽曲シリーズをスタートさせ、6月には元yonawoの荒谷翔大を迎えた「Step By Step(feat. 荒谷翔大)」を発表しているが、第2弾のコラボ相手はSuchmosでともに活動を続けてきた盟友のYONCE。YONCEによる「Footprint」=「足跡」をテーマにした歌詞が2人の関係性を想起させつつ、トラックのアレンジには美空ひばりをサンプリングした「TOKYO KIDS(feat. IO & MonyHorse)」や「POP YOURS」のトレイラー楽曲などを手掛けるビートメーカー・プロデューサーのMETが加わり、新たな化学反応が起きたエポックメイキングな一曲となっている。TAIKINGとYONCEの2人に楽曲制作の裏側と、Suchmos活動休止以降の3年半の足跡について語ってもらった。

―まずはタイキくんがシンガーとのコラボ楽曲シリーズをスタートさせた経緯を教えてください。

TAIKING:バンドを休止して、ソロ活動を始めたタイミングがコロナ禍だったのもあって、まず自分1人でいろんなことをやらないといけない状況だったんですよ。それでまずはアルバム一枚作るところまでやってみて、次はどんなことをしていこうかなと思ったときに、今一度誰かと一緒にやってみようと思ったんです。Suchmosでは基本的にみんなで曲を作っていたので、バンド形態ではなくても、誰かと一緒にやってみることで自分の曲の幅が広がっていく気がして、違う作り方にトライしてみたくて。自分探しというか、自分も知らない自分の魅力を探してみたかった、みたいな感じでスタートしましたね。

―第1弾のコラボ相手は荒谷翔大くんでしたが、もともと繋がりがあったのでしょうか?

TAIKING:ソロのツアーでyonawoと2マンをやったことがあって、彼の存在もそのときに知って、一緒に話したりしている中で、彼は歌声も独特だし、自分の作る曲のタイプにすごくハマるんじゃないかっていうのがあったかな。あと彼がyonawoをやめて、ソロをやり始めるタイミングと重なっていたこともあって、これからどうなっていくんだろう?っていう、ちょっと不安な気持ちもあったとは思うんです。「Step By Step」は「前向きに1個1個やるしかないよね」みたいなテーマ性の曲なので、彼とはこの曲を今一緒にやるのがいいんじゃないかと思いました。



―YONCEくんの名前はコラボ相手の候補に最初から挙がっていたわけですか?

TAIKING:そうですね。ただYONCEの場合は荒谷くんとまた違うなと思ってて、YONCEとやるんだったら何か面白い方向性でやりたいと思ったんですよね。YONCEと一緒にやって、Suchmosダッシュみたいになるのは嫌だなと思ってたから、今回初めてビートメーカーのMETくんに入ってもらい、俺とYONCEがやることで、良くも悪くもSuchmosっぽい匂いが出てしまうものを、より客観的に見て、こねくり回してもらいたかったんです。あと今回の歌詞は丸々YONCEにお願いしていて、それもソロではこれまでやったことがなかったので、僕の中ではめちゃくちゃ新鮮だったし、すごく面白い着地になったなって。

―YONCEくんは最初に依頼を受けて、どう思いましたか?

YONCE:まずは単純に、仲間の誘いはやるっていうことですね。Suchmosの活動休止からは3年経ってて、バキバキに制作してた時期から数えると下手したら4年ぐらい経ってるけど、その間他のメンバーと何かするみたいなのをしてなくて。だからまずタイキが曲を書いて、「こういうメロなんだ、こういうリズムなんだ」みたいなのを聞くとこから入ってはいるけど、もう内容云々以前に、「タイキだから」っていうところですぐにやりたいなと思いました。

ーSuchmosの活動休止からは約3年半が経過していて、その間はそれぞれが個人の活動をしてきたわけですが、YONCEくんはタイキくんの活動をどのように見ていましたか?

YONCE:これはめっちゃ遡った話になっちゃうけど、タイキはもともとギターボーカルで、俺が知った当時は普通にフロントマンだったから、そこの違和感みたいなのは正直あんまりなくて。むしろ昔と変わらず、ピュアさみたいなことを歌っていたり、Brotherhood的なスタンスでやっている感じが僕としてはすごく嬉しいです。あとはやっぱりギタリストとして素晴らしすぎるから、今どんだけ忙しいねんみたいな、やっぱすげえなっていう感じ。でも多分タイキが一番他のメンバーとも交流があって、俺もタイキの主催しているイベント(「CONNECTION FES」)に出てるし、休止後もフラットに、開かれた状態で生きてる感じがします。僕も別に閉じちゃいないけど、タイキはよりそこの物差しがフラットのままやってる気がする。

―タイキくんはYONCEくんの活動をどう見ていましたか?

TAIKING:Hedigan’sをやる前に、「畑を始める」みたいなことを風の噂で聞き、実際メンバーで何回か会うタイミングがあったときに直接その話を聞いたりして、まずその農業っていうのが面白いところに行ったなと思って。世の中の見方をYONCEなりに勉強しに行ってる感じがすごくして、Hedigan’sの音楽を聴くと、歌詞とかにそういう経験から得た目線が入ってるような気がして。自分の物差しができたというか、もともとあるんだけど、それがより極まってる感じがするから、やっぱり面白いやつだなって思ってました(笑)。

―実際YONCEくんって今の話を聞いてどう思いますか?

YONCE:その通りですね。「何か持って帰ってくるために」みたいに言っちゃうと、畑を手伝っている師匠たちからしたら「別にそういうつもりでやってもらってるんじゃないんだけど」っていうのもあるかもしれないけど、でもやっぱりそういう部分はあって。音楽とかエンタテイメントの世界で培ったことが農業で生きてることもあるし、タイキが言うように、農業とか田舎での暮らしから持って帰ってきて音楽に落とし込んでることもやっぱりある。そのどちらが正しいとかいいとかっていうことでは全然なくて、むしろこれを両方続けるの超大事だなっていうのが、ここ1年ぐらいの僕の考えですね。「貴重な体験」とか「都会じゃ見れない景色」とかじゃなくて、もっと根本的な、本質的なことを、雑草を刈りながら考えるでもなく考えるような時間って、逆に今まで全然なかったから、それができてるのが個人的にフレッシュだし、今は生活のどの局面においても、すごくバランスが取れている感じがあって。そういう意味で、タイキが見ていた俺の姿は、ホントにその通りなんだろうなと思います。

Rolling Stone Japan 編集部

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