渡辺直美が語る、全米ツアーで得た感覚 お笑いの「間」は世界共通

渡辺直美(Photo by Mitsuru Nishimura)

2021年4月から活動の拠点をアメリカ・ニューヨークへ移した、渡辺直美。昨年は初の全米ツアー「Naomi Takes America -The Podcast LIVE-」を開催し、全7都市にて笑いを掻っ攫った。海外での活動を広げる一方で、日本のファンに対する想いも強い彼女は、今年5月にファンクラブを開設。世界中を駆け巡りながら今何を思っているのか、日本に一時帰国しているタイミングで取材を行なった。

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マスメディアからひっぱりだこにもかかわらず、渡辺直美は2019年より日本とニューヨークの2拠点生活をスタートさせて、2021年に本格的に移住。昨年は全米ツアーや他国での仕事もあり、ニューヨークの自宅で過ごした期間はたった2カ月程だったという。最近は「天下」と呼ばれた地位を目指すこと以外の道で活躍する芸人が増えているが、そもそも渡辺は、なぜ世界へ出ることを決意したのだろうか。

「私は、やったことないことをやるのが好きなんだと思います。自分の人生でやったことがないし、先輩たちもやったことがないような道の扉を、『どんな感じなんですかね?』って、コンコンと叩いてみる感じ。好奇心旺盛で、挑戦もしたいタイプ。精神的にはドMなのかもしれないですね(笑)」

これまでも固定観念に捉われず、ビヨンセが手がけるブランドの広告モデルを務めるなど、お笑い芸人として活躍の場を切り拓いてきた。さらに女性としての「かわいい」や「かっこいい」の価値観も塗り替えることで世間を魅了し、斬新なファッションやメイクを纏った写真だけでなく時にはすっぴん姿も見られるInstagramのフォロワー数は、1000万を超える。

「自分で切り拓いているつもりはないんですけどね。何事もそれぞれの人間のパワー次第だと思っているので、『芸人だからやっちゃいけない』『女だからやっちゃいけない』ということはないと思っています。自分が挑戦を続けた先で、後輩たちが、何のしがらみもなく、周りの目も気にせず、『自分のやりたいことや好きなことをやっていいんだ』と思えていたらいいなと思います。やり続ければ、絶対に誰かが応援してくれますから。やってみてダメだったということも、それはそれで成功だと思う。そこから違う道へ行くのも全然ありだし。休みたい時は休んでもいい。私は、自分が選択した道に無駄なことはないと信じているんですよね」

そんなチャレンジ精神から彼女は昨年、初の全米ツアー「Naomi Takes America -The Podcast LIVE-」を開催。たった一人で舞台に立ち、お客さんから受けた質問やテーマにアドリブで答えるトークライブを繰り広げた。まだ英語が完璧ではないにもかかわらず、恥や失敗を恐れず果敢にステージに立つ姿はとてもかっこいい。



「かっこよくないですよ! 英語をちゃんと勉強してしゃべれる人の方がやっぱりすごいなと思います。でもどうやってもネイティブにはなれないし、英語がペラペラになるまで何もしないという考えはあまり好きではないので、今の片言の状態でも舞台に立ちたいなと思ったんです。そうやっていると、同じように語学を勉強されている方々から『すごく勇気をもらいました』『完璧じゃなくてもコミュニケーションは取れるんだと思いました』といったことを言ってもらって、それそれ!って。日本中の語学を勉強されている方の勇気になれたらなと思いますね」

全米ツアーで得た感覚を通して、彼女は新たな目標を見つけた。

「日本人のお客さんだけでなく、意外と現地の方や私のことを知らない方まで来てくださっていた中で、最初は『どうなるのかなあ』と思ったんですけど、いざやってみると日本人も現地の人も笑ってくださったんですよね。その光景がすごく面白くて。お笑いの『間』は世界共通なんだなと思いました。そこで私が目指そうと思ったのは、日本人もアメリカ人も関係なく、みんなが笑えるお笑いをやること。アメリカに来てから、日本人であることを誇りに思うようにもなりました。『日本からやってきました』ということを堂々と言えるように、日本のみなさんが応援してくれるお笑いを向こうでできたらなと思います」


Photo by Mitsuru Nishimura

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