フットボールアワー後藤が語る、80~90年代日本における「バンドブーム」の熱狂

後藤輝基(Photo by Jumpei Yamada)

DJ和によるMIX CDシリーズ最新作『俺のロック -このバンドに出会えてよかった- mixed by DJ和』が2024年2月31日に発売される。今作は、80年代~90年代に社会現象となった“バンドブーム”にスポットを当てた作品となっており、この時代ならではの個性派揃いのロックバンドによる名曲が33曲収録されている。

革ジャン、レスポールでジャケットに登場しているのは、ロックファンとして知られ、自らも音楽活動を行っているフットボールアワーの後藤輝基だ。1974年生まれで、まさにバンドブームの渦中で多感な10代を過ごし、日本のロックが成熟していく過程を体感してきた世代である後藤に、音楽との出会い、バンドブーム期、そして最近の音楽シーンについて思うこと等、今作を巡る様々な話題について語ってもらった。

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―『俺のロック -このバンドに出会えてよかった- mixed by DJ和』には80年代~90年代に発表されたバンドの楽曲が33曲収録されていますが、聴いてみていかがでしたか?


『俺のロック -このバンドに出会えてよかった- mixed by DJ和』のジャケットに登場している後藤輝基

後藤:いやもう、いわゆるドンピシャ世代というか、こういう曲を聴いて育ってきましたね。もちろん、高校生の頃とかはこういうメジャーシーンのロックとは違うものを聴くようになったりしますけど、やっぱり街に溢れているのはこういうロックですから。どのバンドも聴いてましたし、このCDにも特に好きなものもあります。

―以前のローリングストーンジャパンの取材で、ギターを始めたきっかけはお父さまの影響とおっしゃっていましたが、音楽自体を聴くようになったきっかけは何だったんですか。

後藤:やっぱり、親父、お母さん、姉ちゃん(2人)といった家族の影響で、音楽を聴くというか強制的に聴かされる、見せられるっていう感じでした。親父が常に機嫌が悪い人で、機嫌の良い日だけクラシックギターを弾いてるギターの音が親父の部屋から流れてきたという影響もありましたし、当時の家って1人1台テレビがあるわけじゃなくて、所謂お茶の間、リビングにテレビが置いてあってそれのチャンネルの取り合いなんです。親父は親父用のテレビがありましたけど、残りの家族は4人で、その1台のテレビでやりくりするんですけど、うちの姉ちゃんは歌番組か漫才番組しか見なかったんですよ。僕は「アニメが見たいな」と思ってても、姉ちゃんが夕方になると漫才を見て、夜になると歌番組を見る。当時、音楽番組ってすごく多かったから、この時間帯はこっちのチャンネル、この時間帯はこっちみたいな感じで、それを姉ちゃんの横で見てたっていうのは、だいぶ影響はあると思います。うちは姉が2人いるんですけど、上の姉ちゃんは歌が好きで、浜田麻里さんとかオフコースとか松任谷由実さんの曲を歌ってる姉ちゃんの声が部屋からよく聴こえてきたんです。そこからちょっと年齢が上がると、この間までオフコースが流れていたのに、急にラウドネスが流れてくるようになって(笑)。

―ハードロック、ジャパメタブームの時期ですね。

後藤:そう、ハードロック。そこからPVがブームになって、80年代のアメリカやイギリスのミュージック・シーンがそのままお茶の間に流れてくる時代になって、姉ちゃんがよく洋楽を聴いていたんですよ。ボン・ジョヴィ、デュラン・デュラン、カルチャー・クラブ、シンディ・ローパー、マイケル・ジャクソンとか、あの時代ですよね。その影響はだいぶデカいですよ。

―今回の選曲ラインナップの中にも、お姉さんの影響で聴いた覚えがある曲もあります?

後藤:いや、この頃はもっと大人になってます。僕がもう個人的に音楽を聴き出している時代、あるいはお笑いの世界に入るまでのちょうど間ぐらいのラインナップですね。

―この中で一番好きなバンドは、やはりBLANKEY JET CITY(以下・ブランキー)だと思いますが、他に思い入れのあるのはどんなバンドでしょうか。

後藤:バンドブームっていうところで言うと、ジュンスカ(JUN SKY WALKER(S))、BUCK-TICKとか、ここには入ってないですけどBOØWYとかはみんなが聴いてましたからね。そういうバンドブームの人たちをワーッと聴いている中で、尾崎(豊)派がいたりして、「じゃあ俺は長渕剛を聴こう」ってなったりとか、そんな感じでした。でもやっぱり、こういうバンドの曲は普通に聴こえてきて耳に入ってくる時代でしたから、どれも聴いてましたね。

Rolling Stone Japan 編集部

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