浅井健一が語る、人生で一番大事なもの、社会や経済を批評的に考える重要さ

浅井健一

2023年4月にSHERBETSの結成25周年記念アルバム『Midnight Chocolate』をリリースし、今年3月にはAJICOでEP『ラヴの元型』を発表するなど、精力的な活動を送っている浅井健一。そんな彼が、今度はソロとして10月9日にアルバム『OVER HEAD POP』をリリースする。今作は現代社会の問題について歌った「Fantasy」をはじめ、ファンタジー色の強い「HUNDRED TABASCO AIRLINE」「うさぎのドアマン」や、人生観を提示した「けっして」など、バラエティーに富んだ1枚。作品に込めた想いや、12月に60歳を迎える浅井の現在地を探った。

─ニューアルバム『OVER HEAD POP』は、どんな1枚になりましたか?

浅井:聴いた人はそんなに深く考えなくてもいい、というかさ。みんなとライブで楽しく盛り上がれる曲になったらいいかなと思って。SHERBETSでは、ちょっと深みのある、ダークや冷たい感じの世界を表現しがちですけど、この3人でやるとしたら、スパンって明るくて思いっきりライブで弾けられるような世界をなんとなく想定していたかな。

─1曲目「Fantasy」は現代社会が抱える問題を歌った楽曲ですね。僕は、浅井さんがインタビューで度々言っている「バンドは時代を映し出す鏡」という姿勢をこの曲で改めて感じました。

浅井:そうだね、うん。

─本当は、我々の暮らしを豊かにするために国の政策が行われているはずなのに、逆に苦しくなっている。そんな本末転倒なことが起きてしまっている状況に対して、「この世はファンタジーだよね」と歌っていると思って。

浅井:それはめちゃくちゃ税金が高かったりとか、社会保険料がめちゃくちゃ高かったりしてる割には、日本の年金機構って世界で一番お金を持っているんだよ。418兆円。だから「年金が足らない足らない」と言ってるのはね、嘘なんだわ。それを銀行の人が言ってました。だけど、めちゃくちゃ年金とか取っていくじゃん。

─いや、本当に。給料は上がらないのに、年々高くなっていますよね。

浅井:ファンタジーだわ。それをファンタジーと言うしかないよね?っていう、そんな感じ。メガソーラーだって、アレはただの金儲け。

─メガソーラーは二酸化炭素の排出量を削減できるなどをメリットに掲げつつも、実際は森林を伐採して二酸化炭素の吸収源を破壊していますからね。

浅井:だからさ、鳥も死ぬし崖崩れは起きるし、めちゃめちゃ恐ろしいじゃん。あんな木を切っちゃんうだもん。山を削って、相当森林伐採しているよ、既に。そんなの余計に酸素が減るじゃん、木を切ったら。そういうところもポロっと出ました。

─今の話は<メガソーラー 広大な 山削り 鳥も死ぬ 何やっとんの>という歌詞にも書かれていますね。目に見える被害としては、災害の問題まで起きていて。

浅井:熱海のやつはそうだよね。

─大きな力が働いて、おかしな状況が起きていますよね。

浅井:だから闇が深いんだわ。まあ、そういうことを知ってる人もいるけど、全く知らない人もいたりして。少しでも世の中が良くなる方向に行ってもらえたらいいな、って願いはある。

Rolling Stone Japan 編集部

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