ザ・ビートルズが設立した「アップル・レコード」知られざる激動の歴史

ザ・ビートルズ

『ジョン・レノン&ポール・マッカートニー ソングブック』シリーズに続く大作ドキュメンタリーとして、ザ・ビートルズが設立した音楽レーベル「アップル・レコード」。その激動の歴史を追った映像作品『ストレンジ・フルーツ~ザ・ビートルズ アップル・レコード・ヒストリー』が2024年10月5日に発売された。

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洋楽好きな音楽ファンならば、青いリンゴのレーベルマークは見たことがあるはず。アップル・レコードは、ビートルズの活動を語る上で欠かすことのできない象徴のひとつだ。とはいえ、実際にどんなレーベルだったのか、どんなアーティストが所属していたのか、そしてその行く末については、ビートルズ・マニアでない限り、あまり知らないのではないだろうか。今作は、そんなアップル・レコードの歴史を162分の長尺で描いたドキュメンタリーだ。



アップル・レコード設立のきっかけとなったのは、ビートルズのマネージャーであったブライアン・エプスタインが税金対策のためにビートルズに関する経営を多角化したこと。しかし、1967年にエプスタインが死去したことから、会社を引き継いだビートルズが1968年に設立した会社「アップル・コア」内のプロジェクトのひとつとして立ち上げたのが、アップル・レコードだ。

音楽業界に革命を起こすべく、才能のあるアーティスト発掘を目的にスタートしたアップル・レコード。「アーティストがレーベル経営に参画する」という意味でも大きな期待を集めていた初期の雰囲気は、ヒッピーの理想主義を掲げ冒険心に満ちていた。ポスターや広告を使って新たなアーティストの募集も積極的に行っており、このドキュメンタリーを観ることで、なんとなく「アップル・レコードといえばビートルズのレコードをリリースしていたレーベル」というぼんやりしたイメージが覆される人もいるだろう。ジョン・レノンは設立会見で「どんなジャンルであれ、業界のコネがなくて困っている人に、夢を実現する環境を提供したいんだ」と語っている。この当時まだ28歳という若さだが、すでに後進のためへの道を切り開こうとしているところに、いかにビートルズが若くして大成功していたかが実感できる。

特に、ポール・マッカートニーとジョージ・ハリスンはアップル・レコードの活動に熱心だったという。そのポールが発掘したのが、アップル・レコード第1号アーティストしてデビューした新人歌手のメリー・ホプキンだ。1968年にポール・マッカートニーのプロデュースによるシングル「悲しき天使」でデビューした彼女をポールに推薦したのは、なんと日本でも「ミニスカートの女王」としてブームを巻き起こしたツイッギーなんだとか。「悲しき天使」は大ヒットしたことで、アップル・レコードは順風満帆なスタートを切った。

Rolling Stone Japan 編集部

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