レジェンドプロデューサー高垣健が語る、ビクターのロックの礎を作ったPANTAの音楽



流れているのはこの番組の後テーマ、竹内まりやさんの「静かな伝説」です。

ディレクター、プロデューサー、レコード会社の担当の方というのはそのアーティストと一番頻繁に接して、いろいろな話をしてきた人でもあるわけですね。僕らは取材とライブでしか会う機会がなくて作品を通しての彼らはそこで知ることしか出来ないわけですが、彼らは本当に人生の一番大事なところから一番どうでもいいところまで全部知っているという。日常生活の中でそういうことを共有している稀有な人たちですね。

頭脳警察、PANTAが在籍していた70年代後半のビクターと言えば、サザン・オールスターズがデビューしてきたときで、サザンをおもしろいバンドだなと思って誘ってプロの世界に引きずり込んだのが高垣さんなわけです。頭脳警察とサザン・オールスターズと2つ並べると、かなり対極のバンドと思われる方も多いと思うのですが、同じ人を経由して同じ人がともにおもしろいと思い、この人たちは何かあるんじゃないか、この人たちと一緒に作ってみようと思った、そういう関係でもあるわけですね。これは時代の綾としか言いようがないわけですけども、そういう中に頭脳警察、それからPANTAさんのソロもあったというのが今週のテーマであります。

ソロになったときにPANTAさんは頭脳警察を覆すようなことをやりたかった。これはいろいろな形で発言が残ってますけど、一人の人間は1つのレッテルでは語れませんし、いろいろな面があるわけですね。PANTAさんにも『十六人格』というアルバムがあります。でも、彼の中には「本能的な反権力」みたいなものあったんだと思うんです。それがいろいろな形で出ているのが彼のおもしろさだということをあらためて思ったりしながら今月はお送りしてます。ジャンルやスタイルとは関係ない、本質的なこと、一番根源的なことに向き合おうとしたロッカーがPANTAさんだったのではないか。来週はそんな志の一端が伺えるのではないかと思います。



<INFORMATION>

田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp

Rolling Stone Japan 編集部

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