PANTA追悼、TOSHIとディレクターが語る頭脳警察の新作アルバム『東京オオカミ』

冬の七夕 / 頭脳警察

TOSHI:PANTAが歌を録音しているときにちょうどいたんですけど、PANTA歌上手くなったなってつくづく思いました(笑)。いろいろ曰くがある曲なんですけれどもね。

田原:43年前に『KISS』というラブソングを歌ったアルバムの時にPANTAさんの所謂不買運動が起きましたよね。それまで過激なことを歌ってきたPANTAじゃない。裏切ったという。

田家:スウィート路線のね。

田原:ええ。その時に橋本治さんと共作された曲があるんですけれども、「冬の七夕」はそれが43年経って逆に結実した曲というか。

田家:あ、そうなんですか。作詞作曲に橋本さんのお名前がないですね。

田原:これ橋本さんが亡くなられたときの曲なんですね。橋本さんが亡くなられた日にPANTAさんがこういう曲を作ったと言って、電話口で歌われたのが最初で。橋本さんへの友情、愛情への想いを宮沢賢治と宮沢賢治が愛した友人がいたんですけれども、そこに投影しつつ、橋本さんが書いた大島弓子さんの漫画への評論があるんですけれども。その評論を混ぜたというか。だから、非常に複雑な歌詞で、ダブルミーニング、サードミーニングがあるんですね。

田家:「かさぶた味のプディング食べて」っていうのが、これ何かあるなと思ったんですよ。

田原:これは大島弓子さんの『バナナブレッドのプディング』という漫画から来てますね。

田家:PANTAさんも橋本さんもお酒飲まないでしょう。甘いものを食べながら、延々と一晩中話しているんだというのをPANTAさんに聞いたことがあって、それでこのプディングなのかと今ふと想いましたね。TOSHIさんが選ばれた4曲目がちょっと思いがけなかったんです。でも、うれしかったです。PANTA&HALで「つれなのふりや」。

つれなのふりや / PANTA & HAL



田家:1980年に発売になったライブ・アルバム『TKO NIGHT LIGHT』からお聴きいただいております。TOSHIさんがこれを選ばれたのは?

TOSHI:単純にいい曲だなというか、PANTAらしいいいセンス。私が個人的に好きな曲でしたね。

田家:PANTA&HALを作ったときには鈴木慶一さんがプロデューサーで、TOSHIさんはどう思われたんですか?

TOSHI:私はその頃、もうアングラな方に入っていったというか。

田家:お芝居の方を。

TOSHI:お芝居の方をやったりとか、自分でセッションバンドを組んでライブをやったりとかとで動いていたのでね。別にPANTAのことは意識なく過ごしてましたね。

Rolling Stone Japan 編集部

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