カーネーションが語る19作目のアルバム、40周年を迎えてたどり着いた新境地

—その他にも、ファンキーな「Sha La La」、直枝さんと大田さんの歌声の掛け合いが熱い「キャラバン」とか、いろんなタイプの曲、様々な物語が詰め込まれたアルバムですが、ラストナンバー「Sunlight」の「物語はもう終わるけれど、その先をずっと見ていたいんだ」という歌詞が、カーネーションの今の気持ちを伝えているようです。

直枝:そうですね。そんな気持ちを言葉にできて素直に歌えたことが嬉しい。さらにこの曲は、自分が思いもしないものになったという感触もあって。

—この曲はドラムを叩いている鈴木さえ子さんが共同プロデュースでクレジットされていますね。

直枝:さえ子さんが曲を気に入っていろんなアイデアを出してくれたんです。「ストリングスが合うんじゃない?ってチェロをアレンジしてくれたり、さえ子さんがドリーミーなアイデアを曲に注いでくれて、僕がイメージしていた柔らかな陽射しの心地よさを表現してくれたんです。

—カーネーションの波乱に満ちた40年が浄化されていくような曲で、アルバムのラストにぴったりです。

大田:俺も絶対、ラストの曲だと思ってたんだけど、直枝くんが1曲目にしたいって言った時はびっくりした。

直枝:自信作だったから最初に聞かせたいと思って。

—これが1曲目だったらアルバムの印象はかなり変わりますね。

直枝:いつも変なアルバムを作りたいと思ってるからね。でも、この曲順でよかったんじゃないかな。

大田:今回のアルバムって、明るさ、暗さ、謎、そういうものがいっぱいあるけど、ごちゃごちゃしてなくてスッキリしてるんだよね。いつもの俺たちのアルバムって1枚通して聴くとお腹いっぱいになるじゃない? 1曲1曲が鍋料理というか。そういうことがやりたかったからそれで良かったんだけど、今回はちょっと違うよね。

直枝:曲を作っていく過程での決断も早くて迷ってないから、混沌はそんなにない。あと、アナログ盤のサイズ感も意識したから全体の尺も短いんです。アルバム通して42分。片面21分。

—そういうコンパクトさがポップな印象を与えつつ、カーネーションのコクはしっかりある。初期っぽい曲が入っていたりしてバンドの歴史を感じさせつつ、新しいサウンドに挑戦したりと、聴くたびに発見がある重層的なアルバムですね。

直枝:サラッと聴けるけど、いろいろと謎が多い。何年も聴いているうちに、その謎が解けていくようなアルバムが好きなんです。今回はそういう作品になったんじゃないかなって思います。

—そういえば、曲名や歌詞に「光」のイメージがちりばめられていますが、これは意識的なことですか?

直枝:無意識ですね。これまでそれなりにぬかるみの道を歩いてきて、いろんな夜を過ごしてきた。そんななかで、音楽に光を求めていたのかもしれないですね。「Sunlight」は柔らかな陽射しの中でうたた寝をしたかった。今回のアルバムでそういうところに辿り着けたのは良かったと思います。

—うたた寝をしながら物語が終わった先を、ここから先に広がる「書き割りの荒野」を夢見続けるわけですね。

直枝:そう。今回、音楽を作る楽しみというのを改めて味わったから、これから2枚組でも3枚組でもどんどん作りますよ。ずっと、何かを作り続けていられたら最高ですね。



<リリース情報>


通常盤


初回限定盤


カーネーション
アルバム『Carousel Circle』
発売日:2023年11月29日(水)
初回限定盤:2CD+Blu-ray 8000円(税込)
通常盤:2CD 3300円(税込)
https://lnk.to/pre_carouselcircle
=収録内容=
■DISC-1<CD> ※初回限定盤、通常盤共通
1. ここから - Into the Light
2. カルーセル
3. 愛の地図
4. ペインター
5. ソングライター
6. 光放つもの
7. キャラバン
8. ダイアローグ
9. 深ミドリ
10. Sha La La
11. Sunlight
■DISC-2<CD> ※初回限定盤、通常盤共通
DISC-1収録曲のInstrumental Version 全11曲
■DISC-3<Blu-ray> ※初回限定盤のみ
DISC-1収録曲のBlu-ray Audio 全11曲
・【HMV GET BACK SESSION】 カーネーション「天国と地獄」
・「21年目のカーネーション SPECIAL 12/12」カーネーション20周年 in 九段会館
・Music Video

Official HP https://www.carnation-web.com/

Rolling Stone Japan 編集部

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