カーネーションが語る19作目のアルバム、40周年を迎えてたどり着いた新境地

カーネーション

今年2023年でバンド結成40周年を迎えたロック・バンド、カーネーション。今ではオリジナル・メンバーは直枝政広(ヴォーカル/ギター)だけ。時期によってメンバーもサウンドも変化して、今では92年に加入した大田譲(ベース)との2人組。バンドとしては崖っぷちの編成になってから10年以上の月日が流れたが、カーネーションは枯れることなく、それどころか仲間を増やしながら精力的に音楽を生み出し続けてきた。19作目の新作『Carousel Circle(カルーセル・サークル)』は、そんなカーネーションのしぶとさ、情熱、冒険心が詰まったアルバム。世代を超えた多彩なミュージシャンをキャスティングして生み出された新しい物語だ。アルバムについて、メンバーの2人に話を聞いた。

—『Carousel Circle』はバラエティ豊かな曲が並んで、一曲ごとに趣向を凝らしたカーネーション劇場みたいなアルバムでした。ここ最近のアルバムとは違った手応えを感じたのですが、レコーディングに入る前にアルバムについて2人で何か話をしたことはありました?

直枝:ないですね。バンド結成40周年なのでアルバムを 作ろうっていうことで始まったんですけど、内容に関しては何が降りてくるかわかんないっていうか。いつも、そういう状態で始めてます。

—今回、ドラマーが3人参加していて、鈴木さえ子さん、北山ゆう子さん、張替智広さんというユニークな人選です。張替さんとはこれまで何度も一緒にやってきましたが、さえ子さん、北山さんとアルバムを作るのは初めてです。

直枝:北山さんはソギー・チェリオス(直枝と鈴木惣一朗のユニット)のライブに参加してもらっていたんですけど、大田くんと一緒にやらせてみたいと思っていたんです。絶対合うんじゃないかと思って。彼女の叩き出すリズムって暖かいし落ち着くんですよね。それが大田くんと絡むと、どういう風になるんだろうって。

大田:すごく気持ちよくやらせてもらいましたね。肌の合わない人っているんですけど、北山さんとは何も話をしなくてもしっくりきた。ノリが女性的というか優しいんですよ。

—さえ子さんはソロ・アルバムも出されていて多才なミュージシャンですが、ドラマーとしてはどんなタイプなんですか?

直枝:ジョン・ボーナムっていう感じ(笑)。さえ子さんとは80年代からの付き合いで一緒にセッションしたこともあるんですけど、そういう印象が強いですね。もともと僕たちはさえ子さんのファンなので彼女の趣味とか全部わかっていて。だから今回、ジョン・ボーナムっていうキーワードでお願いしたら、絶対喜んでくれると思っていました。

—新作に収録された「ダイアローグ」なんてまさにそんな感じですね。力強くてダイナミックで。曲によって最適なドラマーを選んでいったのでしょうか。

直枝:そうですね。「愛の地図」ができた時に、この曲はさえ子さんが合うんじゃないかと思って大田くんに連絡したんです。「キャラバン」とか「深ミドリ」は同じ頃にできた曲なんですけど、軽快でタイトに叩く北山さんにお願いしたらバッチリでした。

—そのほかにも多彩なゲストが参加しています。なかでも今回は鍵盤の存在感が大きくて、伊藤隆博さんと谷口雄さんが活躍していますね。

直枝:この2人はツアーにも参加してもらっていたんですけど、ジャジーなフレージングが必要な場合は伊藤さん。ポップなテイストが欲しい時は谷口くんにお願いしました。谷口くんなんて「アラン・トゥーサンみたいに弾いて」って頼むとすぐに弾いてくれますよ(笑)。

—1曲だけの参加ですが田中ヤコブさんも参加しています。

直枝:「ここから -Into the Light」を書いた時にヤコブくんを呼ぼうと思ったんです。この1年、彼とはたまに会ってて、町田の楽器屋さんへ行ったり、ケーキを食べながら機材の話とかしたり。

—ふた周りくらい離れた若手とアルバムを作っているところが、最近カーネーションの面白さのひとつですね。カーネーションが世代を超えて拡張しているというか、外に向かって開かれている。だからこそ、メンバーは2人でもサウンドは多彩でスケールが大きい。

直枝:どんなプレイヤーを呼ぶかがアレンジだと思ってますからね。

Rolling Stone Japan 編集部

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