クミコと学ぶシャンソン、一番ドラマチックでおもしろい大人の音楽

クミコ

音楽評論家・田家秀樹が毎月一つのテーマを設定し毎週放送してきた「J-POP LEGEND FORUM」が10年目を迎えた2023年4月、「J-POP LEGEND CAFE」として生まれ変わりリスタート。1カ月1特集という従来のスタイルに捕らわれず自由な特集形式で表舞台だけでなく舞台裏や市井の存在までさまざまな日本の音楽界の伝説的な存在に迫る。

2023年10月の特集は、「クミコと加藤登紀子」。テーマは「シャンソン」。シャンソンというのはどういう音楽なのか。日本のポピュラー・ミュージックにどんな影響を与えてきたのか。1週目2週目はゲストにクミコを迎え、辿っていく。

田家秀樹:こんばんは。FM COCOLO「J-POP LEGEND CAFE」マスター・田家秀樹です。今流れているのはクミコさんの「ヨイトマケの唄」。1964年に発表された美輪明宏さんのオリジナルですね。作詞作曲が美輪明宏さん。今週の前テーマはこの曲です。



今月2023年10月の特集は「クミコと加藤登紀子」。テーマはシャンソンですね。戦後のポピュラー・ミュージックの柱の1つだったのがシャンソンです。1982年に東京銀座の伝説のシャンソン喫茶、そして老舗のライブハウス銀巴里でプロ活動をスタートしたのがクミコさん。1965年学生時代に第二回シャンソンコンクールで優勝して1966年にデビューしたのが加藤登紀子さん。シャンソンを軸にした日本語の歌の可能性を求め続けて半世紀以上ですね。加藤登紀子さんは今日本訳詞家協会の会長さんでもあるんです。今月はお二人にとってのシャンソンについて伺っていきます。シャンソンというのはどういう音楽なのか。日本のポピュラー・ミュージックにどんな影響を与えてきたのか。先週と今週のゲストはクミコさん。先週は銀巴里についてお訊きしましたが、今週のテーマはシャンソンと私です。こんばんは。

クミコ:こんばんは。またよろしくお願いします。

田家:シャンソンと私という大上段なタイトルをつけてしまいましたが、こういう歌はこういう季節に聴きたくなる、みたいなものってあるんですかね?

クミコ:そうですね。やっぱり秋がみんなが聴きたくなるんじゃないかなって。

田家:シャンソンって、そういう意味では秋から冬みたいなイメージがありますよね。枯れ葉がある、その中で恋を語りあったり、涙したり。

クミコ:寂しさとか無常を感じたり、そのあたりが日本人にすごくフィットするんだろうと思いますよね。

田家:先週のお話の中で学生時代に演劇をおやりになっていた話がありましたけども、その前もあるわけでしょう?

クミコ:演劇をやるようになる前は普通のなんちゅうことない学生ですけど、子どもの頃にNHKの舞台中継という土曜日の夕方ぐらいにあった番組で宝塚ですとか新劇ですとか歌舞伎の中に新劇があったんですけども、劇団民藝の「森は生きている」というものを見て。そこでなんて舞台ってすごいんだろうと思ってあっち側の人になりたいと思ったのが最初ですね。

田家:そういう意味では一番演劇的な音楽がシャンソンなのかもしれませんもんね。

クミコ:今思えばたしかにそうですね。ただ、私銀巴里のオーディションとジャズのオーディションを受けていて、どちらかと言うとジャズの方がフィットしちゃったんですね。トリオだったんですけど、そこでも憂歌団の歌で“ALL OF ME~”♪なんて歌っちゃったんで、気持ちとしてはジャズ歌手になりたかったですね。スウィングが好きなので、ジャズっていいなあと思ったらそっちは落ちて銀巴里が受かったので自動的にシャンソン歌手になっちゃって(笑)。

田家:そう思うと、今こうやってシャンソンをテーマに話をしていることが感慨深いと言えるでしょうし。

クミコ:お導きというか、歌の縁というのもこういうものなのかなと思いますね。

田家:今年の7月に両A面シングル『時は過ぎてゆく / ヨイトマケの唄』が発売になりました。あらためて今日はこの曲をお聴きいただこうと思います。「時は過ぎてゆく」。

Rolling Stone Japan 編集部

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