NCT 127が語る、唯一無二の「オールラウンドなユニット」である理由

「僕らが最終形態に到達していたとしても、流動性を維持することは可能だと思います」(Mark)

デビュー当時は17歳だったHaechan(本名:イ・ドンヒョク)は、「Haechan」というアーティストの成長にイ・ドンヒョクの成長が追いつかなかったと明かした。「デビューした頃から、プライベートな時間よりもアーティストとして活動する時間のほうが長かったので。メンバーと一緒にいるときは、気にならなかったのですが、家族や友人たちといると、Haechanとして生きることに集中しすぎていたことに気づきました。それからやっと、ドンヒョクとしての成長が追いついてきた感じです」

結成当時はNCTの中でも年少だったTaeyongは、NCT 127のリーダー、さらには“NCTの顔”へと成長した。そんな彼も、自分がまったく成長していないように感じたとドキュメンタリーの中で明かしていた。どれだけベストを尽くしても、まだまだ努力不足のように感じることがあったと。ある場面では、悔しさに耐えきれずに涙を流した。だが、それ以来、自分を受け入れられるようになったと言う。その一部は、NCT 127の成功のおかげでもある。「自分でいることを心地良いと思えるようになったのは確かです。ドキュメンタリーを撮影していたときよりも、そう思えるようになりました。NCTとNCT 127のバリューが上がり、ある一定のポジションを築くことができたおかげで、自分たちがやりたいことをしてもいいんだ、と思えるようになったからだと思います。そのおかげで、前よりもっと自信を持って仕事に取り組めるようになりました。特に、事務所やメンバーたちと働くときはそうですね」

メンバーたちの近年の成長ぶりは、『Fact Check』のいたるところからも感じられる。音楽のジャンルにとらわれないスタイルはそのままに、ムードやエモーションといった内面に焦点が置かれていることは明白だ。収録曲の「Parade」と「Je Ne Sais Quoi」においては、ハードなNCT 127節は、近年の楽曲と比べるとより繊細になった印象だ。美しいハーモニーが主体の「Misty」と「Love is a beauty」は、クールで絵的な洗練さに裏打ちされている。軽快なタイトルトラック「Fact Check」においても、歌詞の内容をさらに掘り下げる余地がありそうだ。彼らが言うところの“最終形態”に到達したNCT 127が傑作と肩を並べるほどのバリューを手に入れたとしたら、果たしてその先にはどのような未来が待っているのだろう。現状維持かそれとも衰退か?











インタビュー特有の言葉のキャッチボールが得意なMarkは、深呼吸をしてから口を開いた。「そうですね、僕らが最終形態に到達していたとしても、流動性を維持することは可能だと思います。9人編成というNCT 127の確固たる形は、僕らのバリューであり、アイデンティティでもあります。それに対して、流動性というものは、僕らを取り巻く環境にあります。それを通じて個人として成長し続け、時代を超えて愛される音楽をつくり続けていきたいです」。Jaehyunの考えは少し違うようだ。「僕たちの音楽が永遠に流動性を保ち続けられるかどうかはわかりませんが、ステージ上でのパフォーマンスやファンのみんなの前に立つ瞬間は、記憶に残り続けると思います。何年もあとにメンバーたちと振り返っても、あのときの記憶は永遠にそのままなのではないでしょうか」。それを聞いてJohnnyは、「こうした瞬間が傑作なんです」とまとめ上げた。

こうしてメンバーたちが胸の内を明かす間も、傲慢さというものは一切感じられない。ゴッホやロダンといった歴史に名を刻んだ芸術家たちと比肩する存在になることについて語っているというのに。そこには大げさな態度や気取りはなく、偉大な芸術家と自分たちの類似性を積極的に模索しようとする誠実な態度がある。その点を指摘すると、Johnnyは意外そうな表情を浮かべた。

「傲慢さについて話したことは一度もありませんでした」。Taeyongもうなずきながら「いつか、最高のパフォーマンスが披露できたときは、自分のことを誇らしく思うのかもしれません。でも、ほかのメンバーを見た瞬間に『もっとがんばらないとダメだ。NCT 127のレベルを落とすわけにはいかない』と思うでしょうね。僕らは、毎日切磋琢磨し合っているのです。練習生の頃から、もっとうまくなることだけを目指してきました。『僕らは最高だ!』というふうには取り組んでこなかったのです」

「傲慢にならずに自信を持ち続けられるのは、周りの人々のおかげです。そこには、メンバーも含まれます。誠実な人々に囲まれることで、アドバイスをもらえます」とMark言う。「もうひとつは、自分たちの好きなことに集中しているからです。例えば『前のアルバムを超えないと』のように。こうしたモチベーションを維持し続けると同時に、Johnnyが言ったように、さらに上のレベルをめざす。僕らは、これからもこうしたマインドセットを持ち続けていきたいです」

Translated by Shoko Natori

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