NCT 127が語る、唯一無二の「オールラウンドなユニット」である理由

「不安は健全な感情です。前に進むための原動力でもある」(Mark)

NCT 127のサウンドは、広義のK-POP界から「ノイズ・ミュージック」と揶揄されてきた。それでも、特徴的な音楽スタイルはK-POPのソングライティング、とりわけボーイズグループのそれに新しい息吹を吹き込んだ。カナダ出身のMarkは、椅子の上で体を動かしながら「僕らは、トレンドを追いません」と口を開いた。首の後ろをなでながら、続けるかどうか迷っていたが、意を決したかのように「トレンドをつくっているのです」と言って笑った。少し恥ずかしそうだが、表情は真剣だ。「どんな作品をリリースするにしても、それがNCT 127の作品である、ということにこだわっています。たとえリスナーの意見が割れたとしても、僕らはNCT 127らしさをなによりも重要視しているのです」

それを受けて、Johnnyが続ける。「僕らはデビュー以来、『NCT 127の音楽は、世間の人々に受け入れてもらえるのか』ということをあまり気にしてきませんでした。音楽をより楽しいものにするにはどうしたらいいか——それがNCT 127の使命なんです。僕らの楽曲には、トレンディなものもあれば、『なにこれ?』のようなものもあると思います。でも、それが僕らの色であり、僕らの誇りなんです」

アルバム名を冠したニューシングル「Fact Check(不可思議)」は、昨今の楽曲と比べるとライトな印象を受ける。Johnnyは、ニューアルバムのオープニングに起用した理由を「この曲に関しては、全員が『パフォーマンスに全力でフォーカスしよう』という想いを抱いていました。確かに、NCT 127の楽曲としてはイージーリスニング寄りですが、ダンスはどちらかと言うとパワフルです」と解説した。



ニューアルバムの解説によると、この曲の歌詞には、各メンバーの“アーティスト/芸術家”としての信念が込められている。それを示すかのように、“バンクシーのように枠を壊して/俺をルーブルに飾ってよ、モナリザの隣に”と自分たちを有名な芸術作品になぞらえる歌詞が登場する。だが、なんといってもこの曲のハイライトは、“俺がアートだ”というTaeilのキメだ。

“俺はこのステージ最大のヒット”と豪語する「Cherry Bomb」や、“新しいことを教えてあげる(中略)ブルース・リーのようにスウィングするベースキック”と自信たっぷりな「Kick It」の歌詞からもわかるように、胸が高鳴るようなNCT 127の楽曲は、いつでも甘美なまでに大胆だ。メンバーたちは、こうした自信を手に入れるために何年も密かに修練を積んできた。そうすることで、避けられない壁をひとつひとつ乗り越えてきたのだ。Johnnyは次のように言う。「正直なところ、僕らは、自分たちの音楽を通していろんなことに挑戦してきました。自分たちがやっていることに100%自信が持てないときもありました。でも、自信があるように振る舞うことはできると思ったのです。それがのちに本物の自信となりました。うまくいくまでは、うまくいっているふりをする、という言葉にもあるように」

Taeyongは、個人の成長という意味では、この2年間がもっとも重要だったと振り返る。成長は、「僕らのチームに自信を持たせてくれる、内面的な刺激」によって裏打ちされていると語った。だが、成長や自己の探究といったものには終わりがない。それについてJaehyunは、「確実に言えることがひとつだけあるとしたら、自信は準備の度合いと密接に関わっているということです。時間などの都合で、あまりステージに立つ準備ができていないときは、とても不安になるんです」

「でも、不安は健全な感情です。前に進むための原動力でもありますから」とMarkは言う。「僕らは、7年以上ステージに立ったり、レコーディングをしたり、インタビューを受けたりしていますが、自己満足に浸るようなことはなかったと思います。実際、いまでもレコーディングのたびに不安になります。でも、だからこそがんばれるのです」

Translated by Shoko Natori

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