Balming Tigerが語るオルタナK-POP、NewJeansへの共感、韓国が音楽シーンを制す理由

Balming Tiger(Photo by Griffin Lotz For Rolling Stone)

7月28日から30日にかけて新潟・苗場スキー場で行われる「FUJI ROCK FESTIVAL '23」。全ラインナップの中でも一際インパクトを放つ「オルタナティブK-POPバンド」、Balming Tiger(バーミング・タイガー)のインタビューをお届けする。

BTSやBLACKPINK等、K-POP界のスーパースターたちがチャートを独占するなか、韓国のアンダーグラウンドシーンは確実に成長を続けている。Balming Tigerは、そのユニークさを象徴するアーティストのひとつだ。

パンクやヒップホップを飲み込んだ型破りなポップ/R&Bを追求する8人組は、K-POPの多様性を体現するような存在だ。去る3月15日、SXSW史上初となるアジアのアーティストに特化したTiger Denでのショーケースの初日に、Balming Tigerは強烈なインパクトを残した。その2日後、Dr. Martensステージに登場した同グループは圧倒的なパフォーマンスを披露し、オーディエンスを熱狂の渦に巻き込んだ(客席にはWarped Tourかと錯覚するようなモッシュピットが発生していた)。

これがオルタナK-POP。彼らはBalming Tigerの音楽をそう形容する。


オースティンのClive Barでオーディエンスを熱狂させたBalming Tiger(Photo by Griffin Lotz For Rolling Stone)

同グループはパフォーマーのOmega Sapien、sogumm、bj wnjn、Mudd the student、プロデューサーのSan YawnとUnsinkable、映像ディレクターのJan’ QuiとLeesuho、ビジュアルアーティストのChanhee HongとDJ Abyss、ライターのHenson Hwangで構成される。それぞれが単独で活躍するアーティストだが、集団としての彼らはざらついたヒップホップのリリックからパンクのビート、メロウなR&Bまで飲み込んだ、音楽のるつぼというべきボーダレスな表現を追求する。パンクロック譲りのパワフルなライブパフォーマンスで知られる彼らは、R&Bを軸とする典型的なK-POPのアーティストたちとは明らかに一線を画している。

デビューミックステープ『Balming Tiger vol.1: 虎媄304』から、BTSのRMをゲストに迎えたヒットシングル「SEXY NUKIM」まで、Balming Tigerは常に先を見据え、そのプラットフォームを通じて韓国の次の世代のアーティストたちをインスパイアしようとしている。大きな話題を呼んだSXSWでのパフォーマンスの直後、彼らは本誌の取材に応じ、標榜する「オルタナK-POP」のサウンド、そして近い未来に世界中に浸透するであろう韓国のユニークなサブカルチャー・ムーブメントについて語ってくれた。




―あなた方は皆、YouTubeで音楽的センスを養ったそうですね。幼い頃、特に影響を受けたアーティストは?

Omega:ファレル・ウィリアムス、タイラー・ザ・クリエイター、カニエ・ウェスト。他にもたくさんいるけどね。(bj wnjnを指差して)あいつはディアンジェロを観たいがために、飛行機に乗ってサマーソニックに行ったんだ。

俺たちが共有してるのは音楽的な趣味ではなくて、スピリットとエネルギー。あいつ(Mudd the student)は90年代〜2000年代初頭のブリットポップが好きだし、俺のルーツはヒップホップで、彼女(sogumm)はR&B上がりだけど、結局のところ類は友を呼ぶんだよ。そんなふうに多様だからこそ、俺たちのライブと音楽はすごくカラフルなんだ。

Translated by Masaaki Yoshida

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