NCT 127が語る、唯一無二の「オールラウンドなユニット」である理由

「NCT 127は、なにかを組み立てるためのブロックのようなもの」(Jungwoo)

確かに、NCT 127は大勢のクリエイティブ・チームに支えられた、忙しくも成功したユニットだ。だが、それぞれのメンバーは、可能な限り自律性を大切にしてきた。それが功を奏したようだ。「最近は、音楽やパフォーマンスに自分たちの声をもっと取り入れるようにしています」とTaeyongは語り、そのアウトプットの多くには「僕ら自身の視点が投影されているのです」と続けた。

Jaehyun、Johnny、Taeyong、Mark、TaeilはNCT 127のソングライティングにも携わっているが、今回のアルバムでTaeyong、Mark、Taeilの3人は、全9曲のうち3曲の作詞に参加した。また、それぞれの楽曲には、A&Rチームの各メンバーの名前がクレジットされている。「僕らは、ひとりひとりの提案やアイデアにしっかり耳を傾けます」とMarkは言った。だが、9人全員の意見をまとめるのはさぞかし大変だろう。

「押したり引いたり、つねったり蹴ったりすることもあります」とJaehyunがさらりと冗談を飛ばした。

対するMarkは、「多数決をとります。できるだけ平等になるように」と笑った。

NCT 127のシングルは、きわめて実験的なものばかりだ。そのため、メンバーの意見が分かれることも少なくはない。だが、高揚感とスリルに満ちたすべてのシングルの背後には、ヒップホップ、エレクトロニカ、ロック、バラード、そして彼らがもっとも得意とするポップなR&Bといった無数のジャンルからなるアルバム曲が存在することも忘れてはいけない。

「僕らは、自分たちのことをオールラウンドなユニットだと思っているのですが、世間はそうは見ていないかもしれません。両者の間には、いつもギャップがあると感じてきました。世間が僕らのことをどう思っているか、気になるところですね」と、ボーカル担当のひとりであるDoyoungは言った。そう言いながらも、世間受けよりも、好奇心の要素のほうが重要だと考える。「僕らは、自分たちの好きなことをして、それをとことん追求します」と決意に満ちた表情で言った。

ボーカル担当のJungwoo(2018年に加入した、もっとも新しいメンバー)は、NCTというグループ全体のコンセプトにおけるNCT 127の役割を次のように解説した。「NCTは、僕らの基礎であり、ルーツでもあります。それに対してNCT 127は、なにかを組み立てるためのブロックのようなものです」。だが、こうした見方にいたるまでの道のりは平坦ではなかったようだ。複数のユニットからなるNCTの複雑な構造は、K-POP界屈指の大家族を生み、それによってユニットをまたぐ魅力的なコラボレーションも誕生した。そのいっぽうで、メンバー間のダイナミクスのギャップという課題もあった。この点についてTaeyongは、次のように語った。「デビューしたばかりの頃といまとの最大の違いは、ようやくひとつのグループになれた、と実感できたことです。当時は、ひとつひとつのパフォーマンスに集中していましたが、いまではユニットとしての一体感を感じられるようになりました」

互いに寄りかかったり、目で会話をしたり、同じタイミングで爆笑したりと、こうした阿吽の呼吸は、時間とひとりひとりのプロフェッショナリズムの賜物である。だが、それ以上に、各自がNCT 127という枠組みの中で、それぞれの人生や成長を尊重し、支え合ってきたからでもあるのだ。

大阪生まれのYuta(インタビュー中も真っ赤な髪が目を覆っている)は、新しい文化と言語環境に適応しようと奮闘しながら、練習生時代とデビュー後の数年間を過ごした。そんな彼は「いまは、NCT 127としての活動をもっと楽しめるようになりました」と言った。「自分のことをより深く知ることができたと思います。自分はなにが好きで、どういうことをしたいのかが明確になったのです。特にパフォーマンスやティザーの撮影、コンサートの準備の際に、自分の意見を言えるようになりました。事務所側もそれを積極的に受け入れてくれます。こうした協業は、とても楽しいですね」。そう話すYutaを見て、Johnnyは「Yutaは、このチームのロックスターなんです!」と嬉しそうに笑った。

Translated by Shoko Natori

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