君島大空 合奏形態インタビュー この4人で演奏することが特別な理由

合奏形態が初めて一緒に音を合わせた瞬間

─その信頼関係を育む過程を振り返るためにも、合奏形態が生まれた瞬間の話も聞いてみたいです。君島さんと新井さんは高校生の頃に福生のライブハウスで知り合い、西田さんとは2017年に三軒茶屋で開催されたギタリスト・セッションを通じて意気投合し、そこから石若さんのSong Book Trio(西田も参加)との対バンにつながっていったわけですよね。その後、合奏形態が始動するのは2019年4月のこと。初めて一緒に音を合わせた瞬間はどんな感じだったんですか?

新井:なんかさ、スケジュールが結局合わなくて。

西田:当日にやったっしょ。

君島:そうそう、初ライブのリハを当日にやったんですよ。

新井:3人のリハは先にあったんだよね、新宿のスタジオペンタで。それで「やってみよう」ってことでバーン!って演奏したら、1回で君島が爆笑して「OKです、これで大丈夫です」と言ってたのを覚えてる(笑)。「都合」か「19°C」をやったんじゃなかったかな。

君島:それで、下北沢THREEでの初ライブ当日(2019年4月19日:1st EP発売記念夜会『午後の反射光』)に駿さんが来て、たしか3〜4時間くらい会場近くのリハスタに入って……。

新井:ANDY'Sだったはず。

君島:それでそのまま(本番を)やったんだよね。だから、リハの記憶があんまりない(笑)。

西田:で、2回目のライブがフジのルーキーなんですよ。この辺も合奏らしいね(笑)。

君島:「この3人に集まってもらえて嬉しい」みたいなことを考える暇もなくライブをすることになり、ルーキー出演が決まるみたいな感じだったから、僕は正直、3人に対してそんなに重い気持ちはなくて。もちろん、それぞれに対して強い気持ちはあるけれど、抱きしめすぎなくてもいいというか。自分がきちんと進んでさえいれば、手を離してもそこにいてくれる人たちだと思っているので。だからこそ、僕は自分の音楽を頑張るしかないし、いい意味で最初の印象はない(笑)。

新井:そのときのANDY'Sでのリハがどんな感じだったかは覚えてないな。

西田:覚えてないよね。

君島:とりあえずテンションが全員高かった。「やっと4人でやれるぞ! 西田がメチャクチャデカい(エフェクター)ボードを持ってきたぞ!」みたいな(笑)。

新井:ステージからちょっとはみ出てたよね(笑)。

石若:話を聞いてたら、だんだん思い出してきた。そのTHREEでのライブがすごく良かったんだよな。

西田:あのとき良かったから、俺ら今でも一緒にやってるところあるよね。

君島:最初は本当に「一回だけでいいかな」と思ってたんですよ。友達を集めて、僕のレコ発を一緒にやってもらうためのバンドというつもりだったから。

新井:一回限りみたいなニュアンスも当時はあったよね?

君島:あったあった。でも、やってみたら悔しかったんです。自分が歌えなさすぎて。それで……(小声で)もう一回このメンバーでやりたいなと思ったらフジが決まって。こうして今も続いていると。

─話を聞いていると、合奏形態にとってフジロックの存在がかなり大きかったんですね。それに、この4人は音楽でつながってるんだなと改めて思いました。

西田:たぶん、人間の相性がいいんです。そういう感じがする。みんなカバーしてるものがそれぞれ違う。

君島:そうだね、違いすぎる。

新井:でも俺が思うには、人間性もありきなんですけど本質的なところで、ステージ上で鳴ってるものがすべてだっていう認識もみんな絶対あるから。そこで信頼できていないと、そもそも成り立たないと思っていて。ステージ上でバーン!とやったときの、あの感覚こそが全てだよねって。

君島:うん、それは本当に強くある。

西田:めっちゃそうだね。だからこそ、安心して友達でいられるところはある。基本的に、すげぇ頑張らないとついていけないメンバーなんですよ(笑)。


Photo by Kana Tarumi

─では最後に、8月16日に合奏形態でのワンマンが控えているのでその話を。なんかすごいイベント名ですけど。

君島:「THE SADDEST TEMPEST」、もっとも悲しい嵐。

─また今回みたいにチャレンジングなライブになりそうですか?

君島:新しい曲が増えると思います。単純にやっていない、どこにもまだ出していないものやるし。今回使った仕組みも使うでしょうし。

新井:フジで僕らを観てから来る人も多いと思うので、今日のいいところをがっつり入れられたらと思ってます。

西田:でも、また絶対進んでるだろうね。今日の面白かったところにプラスして、もっと面白いことをしようと。

石若:フジから8月16日までは短い期間だと思うんですけど、そこでまた何かが生まれる場所が合奏なんですよね。それでまた、新しい景色を見ることができる。

西田:今日、思い描いたとおりのライブができたら、自分たちにとってエポックメイキング、最高だぜって思えるかなと考えていたけど、ちゃんとインフレしていってるんですよね。この流れを止めないようにしなきゃいけないわけだから、すっごく色々考えなきゃいけなくて。最高な人生だなって思いました。キミは当日、何やりたい?

君島:すっごいコピーしたくなるし、コピーするんだけど、絶対にコピーができないツインギターの曲をやります。シンプルな方向性も、最近は回帰的に見直し始めているので。

─そういえば今日のライブで、君島さんがギターを弾き倒してたのも最高でした。「そういえば、もともとメタラーだったんだよな」と思い出したりして。

君島:今もそうなんだなって、笑ってもらえたら(笑)。



君島大空 合奏形態ワンマンライブ
「THE SADDEST TEMPEST」
2023年8月16日(水)東京・渋谷CLUB QUATTRO ※SOLD OUT
公演詳細:https://smash-jpn.com/live/?id=3968


君島大空
「˖嵐₊˚ˑ༄」
配信リンク:https://ultravybe.lnk.to/arashi

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