君島大空 合奏形態インタビュー この4人で演奏することが特別な理由

1人で作ったものが、4人の演奏で生まれ変わる

─でもたしかに、2019年にルーキーに出たときの合奏形態はギター、ギター、ベース、ドラムというシンプルな編成だったけど、今日のライブはあの頃に比べると機材もかなり増えているし、「マジで!?」という展開がすごく多かった。

西田:よかった。


Photo by Kana Tarumi

─その変化を強く感じたのは、7月半ばに発表されたニューシングル「˖嵐₊˚ˑ༄」。エレクトロニックミュージックの要素が強いので「この曲はライブでやるのかな?」と思ったら、合奏形態の演奏でとんでもない形に生まれ変わるという。もともとは君島さんが一人で作った曲なんですよね?

君島:そうです。1月にアルバムを出したんですけど、その後もとにかく曲を書いていて、それらを物凄い速度でまとめる作業を最近やっていて。そこから修大メンと「なんかさ、スクリレックスがさ」みたいな話になって。そういえば昔聴いていたな、みたいな。



─意外(笑)。

君島:相模大野にメチャクチャ暗い喫茶店があって、2人でよくそこで会議をするんですけど、「スクリレックスいいよ」みたいな話になって。僕は20代前半、本当に音楽活動を始めたての頃にそういう(EDMっぽい)BGMを作る仕事をしていたんですよね。だから「ちょっと待って、意外に得意なんじゃないの」と思って。

西田:あれからすぐ作ったよね?

君島:そう、次の日に1日で全部作った。

新井:そうだったんだ。すげぇ……。

西田:それこそあのとき、フジの話をしてたんですよ。セットリストを考えながら「どんな曲やろうか?」と話し合っていて。で、今日のライブで「˖嵐₊˚ˑ༄」の次にやった「花降る時の彼方」に転調して2段階(キーが)上がるところがあるから、「あそこでいつもと違うサウンドで上げたくない? ダブステップっぽい感じでドンドン!みたいなのどう?」と提案したら、次の日には「˖嵐₊˚ˑ༄」が完成していた。

君島:そういえば俺、ダブステップやってないわと思って。フジもあるし、なんか用意できたらとは考えていたんです。それでそういう話があって、 気持ちがアガって1日で作った曲ですね。

西田:だから、ライブでやるためにキミが作った曲とも言えるよね。その結果「ライブでどうすんの?」って曲になっちゃったわけだけど。

─(笑)。

西田:「回転扉の内側は春?」という曲も、もともとキミが一人で全部構築した曲だから、今年1月のZepp(KT Zepp Yokohama)で初めてやったんですけど、ライブでやるのが難しすぎて。でも、そういう曲を4人でやると良くなるのが合奏のシステムとしてあるんですよね。「散瞳」とかもそう。





君島:このことで悩んだ時期は正直ありました。合奏に照準を合わせて曲を作るっていうのは難しすぎるし、でもそうしないとライブができない。色々考えたんですけど、最近そこが一周して。僕が何も考えないで一人で作ったものを、みんなに渡せば意外に形にできるぞっていう。すごく乱暴な考え方なんですけど(笑)。でも、1回そうしないと自分の作品にならないので。

西田:結局、合奏でやることで(原曲と)違うサウンドになったとしても、同じような純度でアウトプットされるじゃん。それが面白いから、このまま続けてほしい。

君島:だからやっぱり(合奏形態は)進化してると思うし、その一方で変わらない「確実な良さ」みたいなものもあって。そこはずっと心配しなくていいんだろうなって、今日のライブで思いました。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE