J-POPの歴史「1994年と95年、アーティストと時代の転機になった90年代半ば」



流れているのはこの番組のテーマ、竹内まりやさんの「静かな伝説」です。

それにしても駆け足だなと思いながらお送りしておりますが、90年代の転機がこの辺ですね。バブル経済は86年から始まって92年に崩壊してるんですけど、音楽業界はまださほどの影響が出てなくて、90年代後半が最も潤った時期。来週再来週がそんな時期ですね。

阪神・淡路大震災は忘れられない出来事がありました。僕が行けたのが3月だったんですね。当時も今も通ってる西宮の接骨院にお見舞いに行こうとして、神戸からバスに乗ったんですが、道路沿いの家がずっと逆さまになってる。多分活断層に沿ってたんでしょうけど、その光景を見て足が震えて涙が止まりませんでした。ぺしゃんこになったチキンジョージに手を合わせてまいりました。

お世話になってた西宮の病院に行ったら、受付の女性に「東京は大変でんな」って言われたんです。何かあったんですか?って言ったら、地下鉄サリン事件が起きてたんですね。まだ倒壊したままの建物がたくさんあって自分たちも大変な中で、自分たちのことよりも人のことを心配してくれる。これが関西の人なんだと思って、優しさが胸に染みたという出来事でもありました。

そのときに久々に会った大阪のスポニチの世話になった人が、道路の向こうで「おおーい、足あるでー!」って足を上げてたんです。俺は無事だよと伝えてくれたんでしょうが、とっても嬉しかったですね。いいな関西はと思った。そんな出来事でした。90年ノート、来週は96年97年編です。



<INFORMATION>

田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp

Rolling Stone Japan 編集部

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