J-POPの歴史「1994年と95年、アーティストと時代の転機になった90年代半ば」



1995年7月発売、DREAMS COME TRUEの「LOVE LOVE LOVE」。95年度年間チャート1位ですよ。金字塔が誕生したと思いました。何気なく、どっかから流れてきたときに思わず席を立った覚えがあります。ドリカムは先週「決戦は金曜日」をお聴きいただいたんですが、「決戦は金曜日」と「LOVE LOVE LOVE」を聴いていただくと、どう変わったかが一目瞭然だと思いますね。「うれしはずかし朝帰り」とあっけらかんと歌ってた人たちが、こんなにスケールの大きい愛の歌を歌うようになった。ドリカムの武器の一つがラブソングのディテールのうまさだったんですが、それを全部封印した。この中で使われてるのは涙と愛。ほぼその二つだけですよ。うまく言おうとしてないで、これだけの曲を作ってしまうっていうクリエイティビティでしょうね。

94年の「innocent world」と、この95年の「LOVE LOVE LOVE」は、いい曲が売れたっていう時代の本当に典型例でしょうね。年間チャートのアルバムは、3月に出た『DELICIOUS』というアルバムで、この年ドリカムはシングル、アルバムの両方を制覇したんですね。ここから彼らもフェーズが変わりますね。96年のアルバム『LOVE UNLIMITED∞』がエピックレコードの最後のアルバムになりました。

「LOVE LOVE LOVE」に続いた年間2位のシングルが、H Jungle with t「WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント~」。90年代前半はラブソング全盛だったわけですが、この「時には起こせよムーヴメント」っていうのが小室哲哉さんからの一つの時代へのアンチのメッセージだったんではないかと思っております。90年代の折り返し点。大きな出来事があったのは、日本の歴史という意味でも同じです。95年10月発売、ソウルフラワーユニオンで「満月の夕」。



1995年10月発売、ソウル・フラワー・ユニオンの「満月の夕」。作詞がソウル・フラワー・ユニオンの中川敬さん、作曲が中川さんと、ヒートウェイヴの山口洋さん。ヒートウェイヴ版とソウル・フラワー・ユニオン版が同時発売されて、今日はソウル・フラワー・ユニオン版をお聴きいただきました。

忘れてはならない出来事。1995年1月17日午前5時46分52秒、阪神・淡路大震災。死者行方不明者6400人以上。被害を受けた住宅、約63万棟。ソウルフラワーの別働隊のバンド、ソウルフラワーもののけバンドが被災地の慰問コンサートをする中で生まれたのがこの曲ですね。

90年代の転機、来週からは後半に入ります。

Rolling Stone Japan 編集部

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