SANADAが語る、温故知新のプロレス観、ハイスタから授かった「魂(スピリット)」

ベルト戴冠後の気持ちの変化

―それは、IWGP世界ヘビー級のベルトを持っているからこそよりそういう気持ちになったんでしょうか。4月8日、両国国技館「SAKURA GENESIS」でベルトを戴冠してから気持ちの変化はありましたか?

変化はありますね。人に求め続けられることってすごく大変なことじゃないですか。人間にはいい時もあれば落ちる時もある。そういうことを考え出すようにはなりましたね。



―やはり、IWGPのベルトを戴冠=団体の顔として興行を引っ張らないといけないという責任感も自ずとあると思います。

意識はすごくするようになりましたね。今まではチャンピオンを追う立場でしたが、今は追われる立場なわけで。正直に言うと、追う立場の方が面白いんです。無我夢中に追うことだけを考えればいい。でも追われる立場というのは、すごく嫌ですけど、どこか守りに入るというか。だから自分はチャンピオンでありながらチャレンジャー精神を持っていたい。あたらしいことにトライしていく姿勢というものは常に持っていたいと思います。

―そういう意味ではチャンピオンとして出場するG1がいい機会になるのでしょうか。

そうですね。挑戦し続けることに関して、いまの話が繋がりますね。今回エントリーされたブロックは自分がいちばん年上なんですが、あえて自分がいちばんフレッシュでいたいと思っています。

―2016年に新日本プロレスに登場して以来、7年越しのIWGP戴冠。オカダ選手とのタイトルマッチは4度目の挑戦で本当にようやくという思いが強かったと思いますが、ベルトを獲ってからの日々は体感としていかがですか?

イメージしていたものとは違いました。

―というと?

もう少し華やかなのかなと思っていましたから。チャンピオンは華やかで幸せなものだろうと。

―実際はそうではない。

もちろん幸せですし、追われる立場というのはモテるということですもんね。最近どの取材でも“モテる”というワードを使うんですけど(笑)。モテることはいいことなんだけど、やっぱり人間って自分の人生をイメージするじゃないですか。そのイメージではもっと華やかなんですよ。でも実際は、そこまで達成できていない。チャンピオンになる前のイメージより輝いてないかなと思っています。自分は本当の意味でチャンピオンになったとは思ってないんです。

―SANADA選手の考えるチャンピオン像とは?

自分がイメージしていたのは、「SANADAがチャンピオンのときすごく観客が入っている」とか「どの大会も完売してる」とかそういうイメージだったんです。それがチャンピオンの責任でもあるのかなと思っています。

―まさにチャンピオンとして興行を引っ張るというか。

はい。「あの時代のプロレス最高だな」と思っていただきたい。これは、振り返って思うものでもあるのかもしれないですが、まだ自分が思い描いていたイメージまでは全く到達していない。そういう意味では全然チャンピオンではないなと思います。

―SANADA選手の黄金期を築くためには何がいちばん必要だと思いますか?

固定概念を捨てて新しいことをするじゃないですけど、何でもいいので前に進み続けていたら自ずと黄金期が来るのかなと。答えがわからないから人間は突き進んでいくと思うし、挑戦をやめたとき、全部ダメになるのかなと。挑戦し続けることが大事なのかなと思います。

―挑戦と言ってもさまざまな挑戦がありますしね。

そうですね。ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンから脱退して、新しいユニットに行ったことも挑戦だったし。その結果、ベルトも獲れたわけで、何かに挑戦することが大事なんです。


Photo by Mitsuru Nishimura

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