新生LUNA SEA、3年ぶりSLAVEの歓声と共に歩み出した新たな門出

LUNA SEA(Photo by KEIKO TANABE)

2023年5月27日、28日の二日間にわたり、LUNA SEAがワンマンライブ「THE BEST OF LUNA SEA 2023」を東京都・武蔵野の森総合スポーツプラザのメインアリーナにて開催した。1日目を「A Rosy Show」、2日目を「A Show for You」と題した今回のライブは、結成記念日である5月29日を直前に控え、SLAVE(ファンの総称)と過ごすスペシャルな夜となった。本公演二日目「A Show for You」の様子をレポートする。

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結成30周年の2020年は新型コロナウイルスの感染が広まり世間は混沌の中であったため、LUNA SEAも自身の30周年記念ツアーは幾度かの延期と中断を余儀なくされながらも、2年の歳月を経て完走。かと思えば、2022年の2月にはRYUICHI(Vo.)が声帯にできた静脈瘤の除去手術を受けるなど、バンドとSLAVEにとってこの3年間は、期待通りに活動が進まない時期であった。そんな日々を乗り越え、やっとたどり着いた今回のライブ「THE BEST OF LUNA SEA 2023」では、新型コロナウイルスの5類感染症移行や感染規模の縮小を踏まえ、「声出し解禁」を宣言。果たして今夜はどんな伝説が生まれるのか、期待を寄せずにはいられなかった。

定刻を15分ほど過ぎ、開演が近づくと自然と観衆もこのライブを待ちきれず立ち上がりクラップを始め、メンバーを迎え入れる準備を整えていく。スクリーンにはステージへ移動してくるメンバーの様子、そして円陣を組む様子が中継で映し出され会場の熱量は一気に上がっていき、メンバーを求める歓声が鳴り響いた。3年ぶりとなるSLAVEの大歓声に迎えられ登場したLUNA SEAが1曲目に演奏したのは、2000年の終幕直前に発表されたバラードソング「LOVE SONG」というまさかの立ち上がりであり、会場からは冒頭から驚き交じりの歓声が上がった。大サビではSLAVEの大合唱を噛み締めるRYUICHI(Vo.)の表情、マイクを通さずとも「もっと!」とSLAVEの声を求めるINORAN(Gt.)の姿が印象的だった。前述の理由から、SLAVEにとっては、やもすれば湿っぽい気持ちがあったかもしれないこの曲も、この3年間の辛い時期を乗り越えて大合唱が叶ったことで、再びLUNA SEAとSLAVEが愛を手渡しで交換しあう、万感の想いが溢れる暖かな曲となった。冒頭から会場の心を鷲掴みにしたことで、このライブはやはり特別であり、LUNA SEAは今夜またもや新たな伝説を作るのかもしれないと感じさせてくれた。


RYUICHI(Photo by KEIKO TANABE)


INORAN(Photo by KEIKO TANABE)

LUNA SEAとSLAVE、互いが3年間堪えてきたものを確かめ合ったあとは、「PRECIOUS...」、「STORM」、「DESIRE」と一気にステージ上がギラついていった。真矢(Dr.)の叩き付けるような力強いドラミングの上で、SUGIZO(Gt.,Vn.)のサステインのある唯一無二のサウンドのギター、INORANが奏でる楽曲に必要不可欠なリフ、どっしりと無骨に楽曲の土台を作るJ(Ba.)の3人は縦横無尽にステージを暴れ回りながらも時に掛け合いを見せていく。RYUICHIもいつも以上のテンションで煽り続けていき、ほとんどの曲でSLAVEにマイクを向けて歌わせるなど、声出しライブにテンションの高まりを隠しきれない。一気にエンジンを全開にしていき、バンドの気合いは十二分に。スクリーンを彩るVJの演出も見事に楽曲の世界観を色とりどりに演出し、SLAVEの手元で光るライトはさらに会場の一体感を重ねていく。冒頭から多幸感が満たされた状態で走り出したSLAVEのテンションは抑えられず、曲間もメンバーを呼ぶ声が鳴り止まなかった。


SUGIZO(Photo by KEIKO TANABE)

「Thoughts」を披露した後は、真矢のスネアドラムが割れてしまうというトラブルが生じてしまうも、RYUICHIの「やばい真ちゃん、フルパワー。クラッシャー真矢!最高です」というフォローで、更に会場は盛り上がっていく場面も。一挙手一投足全てが、ベストライブに繋がるように会場の温度を高める要素になっていたことを痛感した。ライブ再開後は、煌びやかな海風のようなサウンドが印象的な「IN MY DREAM (WITH SHIVER)」でファンも波のように左右に手を振り、再び一体感を生んだ。その後は、「久しぶりにこの曲を聴いてください」というRYUICHIの紹介から、廃教会のような退廃感のある映像が投影されると、過去数回しかライブで演奏されなかった隠れた名曲「WITH」を披露。どよめくようなSLAVEの反応の中、物憂げなサウンドと慟哭するようなRYUICHIのアウトロの歌唱が印象的だった。続いて、SUGIZOによるバイオリンソロを導入に「THE BEYOND」のアコースティックバージョンをRYUICHI、INORANと3人で披露。オリジナル版の持つ楽曲の雄大な世界観に加え、包み込むような優しさが上乗せされたような暖かなアレンジとなり、先ほどの「WITH」とは異なる、伸びやかなRYUICHIの歌声の表現とオレンジ色に染まったステージが映えた一曲となった。

Rolling Stone Japan 編集部

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