浅川マキLIVE伝説――プロデューサー寺本幸司が語る「歌は死なない」の意味

今夜はオーライ / 浅川マキ with 南正人

田家:『1993年6月30日「浅川マキ・北海道ツアー最終日」@釧路・生涯学習センター・大ホール』の中の「今夜はオーライ」。本当に最終日の飛び入りセッションって感じですね。

寺本:この現場に行ってませんけど、浅川マキと南がこんな感じでやるっていうのは、素晴らしいと思ったな。

田家:他と違いますもんね。

寺本:全然違う。

田家:この曲は83年のアルバム『幻の男たち』に入っておりますが、このライブセレクションボックス、ユニバーサルに残されてるいろんなライブテイクを基になったって話がありましたけども、改めて思うのはどういうことですか。

寺本:いや、しつこいけど、やっぱり「人は死ぬが 歌は死なない」っていう実感が今すごくありますね。これを監修して、それがいちばん今のぼくの中に大きくドーンと入ってくるコトバですね。

田家:ユニバーサルにそれだけ残ってたっことも素晴らしいことですね。

寺本:ぼくも含めて、マキにかかわるスタッフは、マキが死んでも変わってないですよ。東芝EMI時代からユニバーサルに移った人たちにも、自分の中に浅川マキが続いてるんですよね。

田家:世代を超えるという意味では、寺本さんは、マキさんを歌う今の歌い手さんのプロデュースもされてるんでしょう。伊香桃子さん、『浅川マキ リスペクトアルバム「Good-bye -浅川マキを抱きしめて-」』ってアルバムが出たりして。どんなことを伝えていきたい、何を感じ取ってほしいと思いますか?

寺本:具体的に感じていってほしいとかじゃなくて、伊香桃子は16歳のときに浅川マキの「朝日楼」を聴いてドーンときちゃって、浅川マキの歌を今も49曲歌えるっていうんですよ。そういう意味では、伊香桃子の中にある浅川マキとぼくが向きあったとき、歌はやっぱり死なないんだ、なんて実感して今もやってます。

田家:なるほどね。今後もそういう活動っていうのをお続けになるわけでしょう。

寺本:続けるでしょう。

田家:命ある限り、歌がある限り。お元気で続けてください。

寺本:こういう番組に出してもらって、あなたと久しぶりに話をして、浅川マキの歌を聴いて、それがおれの元気の源なのよ(笑)。

田家:またお越しください。どうもありがとうございました。

Rolling Stone Japan 編集部

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