SUM 41が語る、バンドでプレイする感覚と意味、ポップ・パンク/エモのリバイバル

パンデミックを乗り越えて

―今、いわゆるポップ・パンク、エモのリバイバル現象が起こっていますよね。2000年代当時、ポップ・パンクと呼ばれるのは嫌だったと思いますが、今もあの時代の音楽を多くの人が好きで、多くの人にとって大きな意味を持っています。今のリバイバル現象についてはどう思います?

デリック クールなことだと思うよ。あまり考えないようにはしてるけどね(笑)。今も多くの人がこの音楽を好きだし、新しい世代もこの音楽を聴いてくれてる。それは今この音楽が正当に評価されてるからだと思うんだ。2000年代当時は、ポップ・パンク、エモとか呼ばれて、ちょっと見下されてるようなところがあった。まるで一過性の流行りみたいな感じでね。でも実際には、今なおこの音楽は若い世代にも上の世代にもずっと聴かれ続けてる。それってスゴくクールなことだと思うんだよね。

―当時、「ポップ・パンク」と呼ばれた時はどう思いました?

デリック 実は「ポップ・パンク」という言い方は、2005~2006年あたりまではなかったんだよね。結成当時は誰も僕たちのことをそんな風には呼ばなかった。後に「エモ」が出てきた時じゃないかな。「エモ」という言葉自体は90年代後半から存在してたんだけど、ポップ・パンクの後に出てきた、よりダークな音楽に対して、この言葉がカテゴリーとしてハマったんだと思う。その時にエモに当てはまらない音楽を、ポップ・パンクと呼んだんじゃないかな。これは当然だけど、誰もある特定のカテゴリーで呼ばれたいなんて思わないよね。僕たちも自分たちのことをロック・バンドと呼んだことはあるけど、パンク・ロック・バンドとかポップ・パンク・バンドなんて呼んだことはない。当時の僕たちは若かったから、そんなことは全く気にしてなかったんだけどね(笑)。それに、ポップ・パンクという言葉があるせいで、自分たちのやってること、自分たちの感じてることが変わることは全くなかったから。



―新世代もポップ・パンクを聴いていると話しましたが、それこそ新世代のラッパーたちがポップ・パンクを好きで、自分たちの音楽にも取り入れていますよね。そういうトラップやエモラップのような音楽は好きですか?

デリック 僕好みではないかな(笑)。テンポが遅いし、聴いてて盛り上がらないんだよね。僕はもっとエネルギーのある音楽が好きなんだ。もちろんスロウな曲も聴くんだけど、エモラップは好きじゃないかな。

―日本でもSUM 41の「The Hell Song」をカバーしているラッパーがいますよ(MARZY × OVER KILL (FUJI TRILL & KNUX)「HELL SONG Feat. Jin Dogg」)。

デリック どんな感じ? 僕も好きになれるかな?(笑)



―日本の新世代ラッパーにはSUM 41を好きな人が何人もいるんですよ。

デリック 初耳だね。でも好きでいてくれるなら、感謝の気持ちしかないね。クールなことだと思うよ。

―3年前にコロナ禍になって、デリックを取り巻く状況も大きく変わったと思いますが、パンデミックはどう乗り越えてきましたか?

デリック ロックダウンになって2週間経った時に、僕と妻の間に子供が生まれたんだ。コロナ禍はそれで忙しかったね。同時に、新曲もたくさん作ってた。ずっとスタジオにもいたし、ずっと赤ちゃんの面倒も見てた。


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