SUM 41が語る、バンドでプレイする感覚と意味、ポップ・パンク/エモのリバイバル

SUM 41のスタイルができるまで

―常にフレッシュであり続けるためには、何を心がけていますか?

デリック 僕にとってクリエイティビティのキーとなるのはこういうことだ。僕は曲が降りてきた時しか曲を作らないんだよ。腰を下ろして、さあ曲を作ろうなんて感じではやらない。曲が自然に湧き出てきた時にだけ作るんだ。そこでギターを手にするんだけど、何かが出てくるからこそ、それがアイデアにつながる。曲作りは大体そんな感じでやってるよ。自分で無理やり曲を作ろうなんてことはやらないね。

―あくまでも自然に出てくるものを曲にするわけですね。

デリック そうなんだ。だからいつも短い期間で一気に曲を大量に作る。それが大体アルバムとして形になるね。でもそれが終わると、1~2年は全くアイデアが出てこなくなる。大体がツアーに出てるから、曲を作る必要もないんだけど。それでまた1~2年経つと、突然曲がん降りてくるんだ。しかもこれってサイクルになっていて、決してストップすることがないんだよ。

―初期に作った曲を今振り返ると、どのような感覚になりますか? 昔の写真を見ているような感覚はありますか?

デリック 時々そんな風には思うね。でも、あまり昔の曲を聴き直すようなことはしないんだ。ちょうどこの前もクルマに乗ってエンジンをかけたら、ラジオで「Fat Lip」がかかったよ。ラジオでは「Fat Lip」と「In Too Deep」がよくかかるんだ。昔の自分の曲を聴くのはある意味面白いんだけど、同時に、あまり聴きたくないなって思ってしまう。昔の曲を聴くと、嫌だなと思うところばかり気になってしまうんだ。ここはもっと上手く歌いたかったとか、もっと良い音にしとけば良かったとか、そういうことばかり思ってしまうんだよね。



―でも、今一度当時の曲を聴くと、やはり当時のパンク・ロック・シーンにおいては画期的な曲だったと思うんですよ。パンクだけではなく、ヘヴィ・メタルやヒップホップの要素も入っていて、全く新しい音楽を打ち出したと思うんです。実際、どのようにしてああいう音楽性になったのですか?

デリック ごく自然なことだったんだよね。もちろん今までの音楽とは違う、新しいものになるとは思ってたよ。僕たちが好きで聴いてた音楽をすべて詰め込んだからね。オールドスクール・ヒップホップが好きで、LL・クール・J、ランDMC、ビースティ・ボーイズを聴いてたし、同時に、アイアン・メイデン、ジューダス・プリースト、メタリカといったメタル・バンドも好きで聴いてた。それにもちろんパンク・ロックだって聴いてた。それまでは、1曲の中にこういう音楽の要素がすべて入ってるものは、一度も聴いたことがなかった。それで僕たちで少しだけトライしてみたら、ある時いきなり上手くハマったんだよね。

―新しいことをやりたかったんですね。

デリック 意気込んで、それまでとは違うものをやってやろうという感じではなかったよ。退屈だったから、今までに聴いたことのない曲を作ってみようかみたいな。そんな感じだよ。

―当時のパンク・バンドって、演奏があまり上手くないからパンクを選んだ人が多かったと思うんですよ。SUM 41はあれだけ演奏が上手くできたのに、何故メタルではなくパンクを選んだのでしょうか?

デリック 僕がバンドのソングライターだからだし、ギターがあまり上手くなかったからだと思う(笑)。僕はどちらかと言うと、パンク・ロック・プレイヤーだから。僕が弾けるのはいくつかのコードだけで、デイブとトムがメタルのシュレッドギターを弾けるんだ。彼らは本物のギタリストだよ。僕はあまりギターを弾けないけど、曲は作る。だからよりパンク・ロック・メンタリティに近いものが生まれたんだと思うよ。


Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE