betcover!!がついに明かす飛躍の理由、驚異の創作術、海外からの眼差し

5人が集い、生まれ変わるまでの過程

―珍走隊の話に戻ると、昔は「同世代にロクな奴がいない」と話していたけど、今は仲間に恵まれているなと思ったんですよね。現在の5人編成になってから、betcover!!はすっかり生まれ変わった感じがするというか。

柳瀬:そうだと思います。特に理樹さんと安田さん(Romantic:Key)、新しく入った2人の個性がすごくて。キャラもそうだしプレイ的にも。僕からメンバーに「好きなように音を出して」と言い始めたのも5人になってからなので、その影響もあるのかなと。

―今は自分からこうして、ああしてとは言わない?

柳瀬:デモの段階で完全に作り込んでいるんですよ。MTRでギターやピアノ、他の楽器も全部打ち込んで。そこから「このフレーズは弾けるようにしてきて、ここは自由に弾いて」というふうに伝えていて。だから、イントロとかフックになるところ以外は、全員ライブごとに演奏が違うんです。それがバンドサウンドっていうことなのかなって気づいたんですよね。これまでは「こういうフレーズでこういうふうに弾いてください」と全部決めてたけど、今は人に任せるのがいいなって。

―即興ができるようになって、バンドをやることが面白くなったというか。

柳瀬:そうですね、コードさえ合っていればいいでしょって。バンドでデモを再現しても面白くないし、音楽的にも発展がないというか。とはいえ、5人になったばかりの頃は大変でしたね。曲をプレイするにあたって各々の共有ができていない状態だったので、みんな本当にバラバラだった。今は僕のフィーリングというか、こういう景色をやりたいっていうニュアンスをなんとなくわかってくれているので、自由にやれているところはありますね。

この投稿をInstagramで見る

betcover!!(@betcover_official)がシェアした投稿

左からRomantic、吉田隼人、日高理樹、岩方禄郎、柳瀬二郎

―日高さんが加入したのは……。

柳瀬:2020年の夏だったと思います。

―安田さんはその少し前、『告白』のレコーディングから参加していますよね。それまで岩方禄郎さん(Dr)、吉田隼人さん(Ba)と3人でやってたライブも、その頃から4人編成になって。

柳瀬:4人でのライブは2本くらいしかやってないんですよね。あの頃にはすでに理樹さんとも話をしていたけど、ライブが決まっていてリハーサルの時間がなかったので。



―2人が参加することになった経緯は?

柳瀬:安田さんは向こうから声をかけてくれたんですよね。フェスで一緒だったときにライブを観てくれたみたいで。爆弾ジョニーでのプレイしか知らなかったから「合うのかな?」と思ったけど、実際やってみるとすごく良くて。理樹さんはエイベックスにいた頃のマネージャーが紹介してくれて、僕から連絡しました。見た目が怖いなって思いながら(笑)。

―日高さんと安田さんが加わってから、ビジュアルもヤクザの軍団みたいになって。

柳瀬:僕も理樹さんも任侠好きなので。ただ好きなだけで中身は伴ってない(笑)。そういうわけで、『時間』を作る頃には5人編成になってたんですけど、あの頃はまだそんなに固まってなかったんです。レコーディングの時もかなり擦り合わせしましたし。

―『告白』から『時間』にかけて、音楽的に凄まじい飛躍を遂げたように感じましたが、当事者としてはどうでしょうか。

柳瀬:『告白』は失敗作ですよね。制作中もかなり迷走していたんです。他人の目を気にしちゃって、メジャーらしいことをやろうと思って、それで失敗しちゃって。だから、次はアホみたいなことをやろうと思って『時間』を作ったんです。でも『告白』の時点で、『時間』の曲は半分くらいできてたんですよ。未だに『告白』の曲もライブでやったりしますし、曲自体はそんなに大差ないのかなと。ただ、表現の仕方はだいぶ違いますよね。



―『時間』のほうが焦点が定まってるというか、何がやりたいのか明確ですよね。

柳瀬:そうそう。ただ、『告白』の頃は自分が何をやりたいのか、あえて定めたくなかったんですよ。一点集中して完成に向かうと、(可能性が)どんどん狭まっていくじゃないですか。先のことを考えるとビビるというか。でも、「そういうことじゃねえだろう!」と思って。目の前のことに集中して、今できる全力をやろう、出し切れるまで出そうっていうマインドに変化していったんです。僕の好きなミュージシャンもきっとそうしてきたんだろうし、だからカッコいいんだろうなって。今は明日なき戦いでいこうと思ってます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE