ハルカミライが振り返る10年の歴史、ライブが戦う場所に変わったきっかけ

―結成初期の頃は「バンドというのは遊ぶ場所の1つという認識だった」とおっしゃっていたんですけど、ギアが変わったのはどの辺りなんですか?

須藤:マイヘア(My Hair is Bad)と出会った時ぐらいだから……事務所(THE NINTH APOLLO)に入ってからですね。ライブが戦う場所に変わったんですよ。それまでは適当というか、ちょっとぐらいのバチバチした感じはあったけど、そこまで「戦うぞ」みたいなのではなかった。

橋本:22、3歳の時に変わったよね。

―シーンの中では、どういう存在だったんですか。

橋本:当時はなんでもなかったと思うんですよ(笑)。それこそ「打ち上げが面白いから一緒にライブしようぜ」とか、同世代の友達はそういうのが多かったですね。ライブで「こいつらやべえ」みたいな感じで花開いてはなかったっす。THE NINTH APOLLOに出会うまでは全然でした。俺の中で大きかったのは、2019年にSiMが主催しているフェス『DEAD POP FESTiVAL』に呼んでもらえて、しかも出番をトリ前にしてくれたんです。出演するバンドマンを含め、いろんな人が俺らのことを見てくれて、そこからツアーに呼んでくれる人がガラッと変わりましたね。あれは、俺の中ではビックリした出来事でした。

―橋本さん以外の3人は、どこがターニングポイントだと思いますか。

小松:2019年にメジャーから初めてCD(『永遠の花』)を出した時ですね。周りからの反応が結構あって、意外な人からも連絡が来たりしたのがターニングポイントかなと思います。同時期に、ドラムの先輩と一緒にスタジオ練習に入ることが何回かあって。「あ、こういうことを考えて叩いてるんだ」みたいなのも、その辺で発見したんです。それまではとにかく強く叩くことしか考えてなかったんで、ドラムとしても1つの大きな分岐点になりましたね。

―その先輩っていうのは?

小松:1人はカルナロッタの逸見一磨さん。「ハイアットは打つんだ」と言われて、打つように叩くことを学びました。もう一人はコールスローの蓮沼佑太郎さん。「力はなるべく抜いて、当たる時にスナップでやるのが大事なんだ」と教えてくれました。2人のおかげで、変わった気がしますね。

関:僕は、コロナ禍でギターをちゃんと弾くことを覚えたんですよ。今まではライブでドカンとやるとか、インパクトを残すパフォーマンスを意識することが多かったんですけど、コロナ禍でライブが出来なくなり、ちゃんと練習するようになって。自分なりに録音して弾いてみたりして、向き合い方が変わったんです。今思えば、自分にとってはすごくいい期間でしたね。

―その練習の成果を最初に試せた曲は?

関:『ニューマニア』ですね。コロナ明けで出した2作目なんですけど、俊さんの考えるコードがめちゃくちゃ難しくて。どの音を鳴らしてどの音鳴らさないとか、名前が分からない難しいコードとかに、自分なりにコード名をつけてみるとか。コードに対しての理解も深まりました。

須藤:俺も大地と同じくコロナの時期がターニングポイントなんですけど、それは第二次で。第一次は前のギターが抜けた時ですね。それまではそいつがギターのフレーズをほぼ考えていたんです。でも抜けた後に、俺がギターを考えるようになって。そこでギターの理解が俺の中で1つ上がったんですよね。「あ、コードってこれか。なるほどCとGか」みたいな。

―あ、そこから始めたんですね。

須藤:あくまで付け焼き刃じゃないですか? 代わりにやる奴がいないから俺がやってるだけっていう。コロナに入ってから楽曲としての成長を望んだ時に、1回目のターニングポイントと同じような気持ちになったんですよ。これは俺がやらないと駄目だな、みたいな。あの時は俺しかいなかったから、無理やりやっていたんですけど、コロナになってコードに興味を持ったり「ここはミュートの方がフレーズが見えていいな」と引き算のやり方も知ったり、エンジニアさんからもアドバイスをもらったりして。それがしっかり具現化できたのが『ニューマニア』でした。1作前の『THE BAND STAR』はその頭角というかジャブ。そこでジャブを打ち始めて『ニューマニア』でドンとやって、それをさらに引き算したのが『Symbol 2』ですね。

―関さんと須藤さん的には、ここ2年で大きな変化があったわけですね。

須藤:前にいたギターが抜けた時も大きかったけど、コロナ禍でもっとデカい波で来た!みたいな。それは自分から望んでいた変化なのえ、にいい状況に持って行けたなと思います。

Rolling Stone Japan 編集部

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