ヒップホップ・カルチャーを担う女性たち「Akira Fukuoka」

「ある程度結果を想定できても、言わないようにしています」

ー若いアーティストと仕事をする上で、大切にしていることはありますか?

福岡 自分が経験したことがあって、ある程度結果を想定できても、言わないようにしています。同じ結果になるかどうかわからないというのもあるし、たぶんそうなるんじゃないかなと思っても、彼らは期待してるし、希望を持ってるから、アドバイスとかはしても私が思う結果は言わない。やってみようって言うようにしてます。あまりの無茶振りにはちょっとできないかもって言うかもしれませんが(笑)。

ーマネージメント、レーベル運営をやってきたなかで、女性だから苦労したことはありますか?

福岡 特にないと思います。

ーヒップホップ・シーンで働きたいという女性がいたら、どういうアドバイスをあげますか?

福岡 特に女性にというのはないですが、日本って「裏方」という言葉が示しているように、表にアーティストがいて、裏にA&Rやマネージャーとかがいる、そういう認識だと思うんですよ。でも海外だと、もっとチームっぽい感覚というか。A&Rやマネージャーもブランディングやクリエイティブに対する意見を言うし、功績を残して名前が知られているような人たちもたくさんいますよね。私が思うA&Rやマネージャーって、アーティストがやりたいことを叶えたり、仕事としてこなすだけではなく、アーティストのキャリアを一緒に作っていくという、チームとしての役割があると思うんです。なかなか難しいとは思うんですけど、そういう気持ちがあるといいのかもしれませんね。この仕事は女性にも向いてると思いますよ。実際、日本でもRHYMESTERとかMIGHTY CROWNなどの裏方にも女性がいたし、日本のメジャーレーベルでも優秀な女性のA&Rにたくさん出会いました。アメリカやアジアの他の国でもアーティストのチームに女性は多い気がします。

ー今の日本のヒップホップ・シーンはどのように見ています?

福岡 日本語ラップがまた流行って今まで以上に大きくなってるのは、みんなが夢見てきたことだったと思うのでうれしい反面、ビジネスでもいろいろな人たちが関わってきているなという印象です。ありがたいことなのですが、たまに話がまったく噛み合わないときもあります(笑)。どうなっていくのかなと思いながら見守っています。

ー最後に聞きたいのですが、どんなときに仕事の達成感や醍醐味を感じますか?

福岡 自分の担当しているアーティストのライブでお客さんが喜んでるときですね。いつも感動します。


Photo by cherry chill will.

福岡 彬
東京都生まれ。10歳から16歳までをアメリカで過ごし、メタル、グランジ、メロコア、スケートカルチャー、ヒップホップ等の黎明期に刺激を受けながら育つ。帰国後は女子高生ブームや大学受験と同時に東京のクラブカルチャーを体験し、大学卒業後はDJやWEBデザイナーなどと並行してヒップホップアーティストをサポートするように。現在ヒップホップレーベル「1%」を運営する傍ら、自らもA&Rとして活動中。これまでに担当したアーティストにはRYUZO、ANARCHY、KOHH、WILYWNKA等それぞれの世代のビッグネームが並ぶ。またABEMAで配信されている次世代ラッパー発掘オーディション番組『ラップスタア誕生』の発起人でもあり現在も携わる。





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