ベルウッド・レコード、はっぴいえんど解散後からのニューミュージックの歴史を辿る



三浦:これは小室さんの作品なんですよね。矢野顕子さんがよく大きな愛って言うんですけど、これこそ大きな愛の歌で、なおかつ平和を願うプロテストソングに聴こえます。このアルバムははちみつぱいと一緒にやったアルバムで、小室さんの最初のアルバムは2チャンネルでやってましたから、これは8チャンネルなんですよ。だから弦とかいろいろな楽器を入れたりしていたんですけどね。

田家:このアルバムは11曲入りで他は白石ありすさんが詞を書いている。東京がテーマになっているコンセプトアルバム。コンセプトアルバムという作り方もそれまであまり他のレコード会社では作られてなかった。

三浦:ベルウッドは多いですね。あがたさんからね、みんなほとんどがコンセプトです。

田家:それは作ろうって言う人たちがいた?

三浦:ミュージシャンの判断ですよね。

田家:三浦さんは山形で、はっぴいえんども東京ではちみつぱいも東京で、小室さんも東京で。東京の人たちの音楽シーン、ミュージシャンに対して思われたことはありました?

三浦:僕田舎者だから思うんですけど、やっぱりおしゃれだなと思いますね(笑)。

田家:小室さんやザ・デュランⅡ大阪で東京と大阪は違うなとか?

三浦:ちょっと違いますよね。大阪はソウルって感じがします。東京はちょっとクールなんだけど、おしゃれだなって感じがします。

田家:東京、関西を問わず、みんな三浦さんのところへ集まってきた。

三浦:それは「中津川フォークジャンボリー」でしょうね、僕にプレゼントしてくれたのは全部そこです。

田家:三浦さん、それからベルウッドの懐がないと、そんなふうに集まれないでしょう?

三浦:小室さんと高田渡さんとはっぴいえんどの周りにいた人たちが集まってきてくれたってことですよね。はちみつぱいはあがたさんですよね。あがた森魚とはちみつぱいですもんね。渡さんの周りにも加川良さんとか、そういう人たちがいて集まってきた。恭蔵さんも本当は渡さんの方だったんですけど、たまたま細野さんたちと同じ狭山に住むことになって、細野さんとの繋がりが強くなった。個人的に親しかったんですよね、みんな。

田家:それをみんなまとめて受け止める広さ、度量があった。

三浦:小室さんに言わせるとURC組ですよね。URCは印税もあまりもらえなくて、騙し討ちされたアーティストばかりで、それがみんな三浦さんのところにたまたまいい受け皿があったんだって小室さんは言ってましたけどね(笑)。

田家:この話は来週も続くと思います。今日最後の曲はこのアルバムもコンセプトアルバムでありました。1974年3月発売、あがた森魚さんのアルバム『噫無情(レ・ミゼラブル)』から「大寒町」。

Rolling Stone Japan 編集部

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