ベルウッド・レコード、はっぴいえんど解散後からのニューミュージックの歴史を辿る



三浦:これも名曲中の名曲だと思っています。はちみつぱいって僕は実力的にははっぴいえんどと同格だと思っているんです。だから、そういう意味でははちみつぱいをベルウッドから出すことができて、すごくよかったなと思っているんですよね。今聴いて思ったんだけど、ニュー・ライダース・オブ・ザ・パープル・エイジかな。ガルシアがいた。あれにちょっと似てますよね。

田家:あがた森魚さんとはちみつぱいの関係は先週も先々週も何度か出てきましたけれども、なかなかはちみつぱいとしてレコーディングするに至らなかったんでしょう?

三浦:そうなんですけど、そんなに深い理由はないんですよね。ただ楽曲が足りなくて、(渡辺)勝さんが戻ってきてくれて何曲か提供してくれて1枚のアルバムになった感じですよね。今の曲も勝さんと(鈴木)慶一さんの豪華なダブルボーカル。

田家:アルバムのレコーディングは田町のアルファスタジオだったというのを見ましたよ。

三浦:そうなんです。アルファスタジオに16チャンネルが入ったので、そこを使おうというふうに思って使わせてもらったんですよね。

田家:キングレコードのスタジオには16チャンネルがなかったんだ。

三浦:ないです。だから、大瀧さん以降16チャンネルでやっていたんですよね。まだキングにはなかった。

田家:はっぴいえんどのアルバムも16になったんでしたっけ?

三浦:最後のアルバムは16で、『風街ろまん』は8チャンネル2台です。

田家:8チャンネル2台の16か、なるほど、そういう時代ですね。エンジニアの佐賀次郎さん。

三浦:ビクターの梅津さんです。ビクターの社員が他の会社のエンジニアをやるのはまずいっていうことで、名前を変えたんです。

田家:今回あらためて知ったのですがはっぴいえんど『風街ろまん』のクレジットに近藤武蔵って名前があって。

三浦:それも梅津さん(笑)。

田家:大瀧さんが命名した梅津さんだった。近藤勇と宮本武蔵を一緒にしたんだっていう(笑)。

三浦:あ、大瀧さんがつけたの名前? なるほどね(笑)。はっぴいえんどは変名ブームみたいなのがあって、いろいろね。

田家:三浦さんも変名ありましたもんね(笑)。ミュージシャンだけじゃなくて、エンジニアもいない時代だった。

三浦:そうですね。だから、なかなか自分たちが思うような音を出してくれるエンジニアが、吉野さん以外いなくて。それにビクターの梅津さんがいいよってなってやってもらった。これはビクターのスタジオで僕やってましたよ、一緒に行って。

田家:本当にレコード会社の垣根を越えているというのは、まさに現場もそうだった。そういう時代であります。名盤からもう1曲お聴きいただきます。はちみつぱい『センチメンタル通り』の1曲目「塀の上で」。

Rolling Stone Japan 編集部

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