ウクライナの人気ロックスターが、母国防衛に協力する理由「今は戦士になるしかない」

必要なのは「精神的なサポート」

「今日はハルキウに行った。軍事品や衣料品、人道支援や食料などたくさんの支援物資を持って行った。小型トラックもあったから、地域防衛隊のところに置いていった。それから地下にも行った。今のハルキウではそこがもっとも確実なシェルターだ。大勢の人が文字通り、地下鉄の車両で生活していた。想像できないだろう。大空襲のときのロンドンみたいだ。彼らのためにいくつか歌を歌った。みんな文字通り、地下鉄の駅のホールの階段に座っていた。200~300人の前でアカペラで歌うのは、おそらく人生で初めての体験だった。ギターでも1~2曲演奏した。その後いくつかの部隊を訪問した。街を横断するのはとても胸が痛い――数カ月前に訪れた場所、コンサート会場、誕生日を祝った場所を目にするんだ。まるでパニック映画のように、街の全てが破壊されている。こんなことが自分の国で起こるなんて信じられないだろう。ハルキウの病院に行って、病院の院長と話をした。院長によれば、戦争の序盤にロシア軍と文字通り一戦交え、敵を街から追い出したそうだ。

俺から世界各地のオーディエンスに伝えたいメッセージは3つある。最初は軍事的なメッセージだ。ロシアを止めるにはみんなの助けが必要だ。俺たちには対ミサイル防衛システム、戦闘機、ウクライナ上空に飛行禁止区域が必要だ。飛行禁止区域が無理なら、せめて最初の2つは欲しい。西欧では、俺たちに加担しすぎるとプーチンを挑発して第3次世界大戦になる、というのが一般的な意見だが、実際のところ第3次世界大戦はすでにプーチンによって勃発していて、ウクライナは今その前線に立っている。2つ目は経済的なメッセージだ。可能な限りロシアに制裁を科してほしい。ロシアの人々を苦しめたいからじゃなく、ロシアの人にプーチンを止めてほしいからだ。だからこそCitiグループのような大企業やその他アメリカ企業や国際企業には、ロシアとの取引をストップしてほしい。奴らの懐を肥やす手伝いにしかならない。ロシアに税金を払うことで、ロシアはその金で戦車や戦闘機を買い、俺たちの子どもを殺している。3つ目は、おそらくこのインタビューに一番ふさわしいと思うが、精神的なサポートだ。アメリカや他の国々の有名人も含め、全世界が俺たちを応援してくれている。曲を作ったり、アート作品を制作したり、募金活動をしたり、とにかくウクライナについての話題を広めてほしい。

今後も今の活動を続けるつもりだ。前にも増して救援物資の運搬に力を入れ、精神的な支えの他に価値あることをしたいと思っている。これからも活動は続けていく。今まで以上に力を入れて、他に協力してくれる人も増やしていきたい。オンラインコンサートや募金活動にも参加する。だが、今一番大事なことはプーチンや奴の軍隊を止めること。そしてこの戦争に勝つことだ」

【関連記事】絶体絶命のウクライナ音楽シーン、カルチャーを破壊された当事者たちの怒りと絶望

from Rolling Stone US

Translated by Akiko Kato

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE