矢野顕子が語る、デビュー45周年のニューアルバム「このバンドだからこそ、生まれた作品」

デビュー45周年を迎え、アルバム『音楽はおくりもの』を発表した矢野顕子

宇宙の魅力。誕生の真理。大きな愛。個人的な体験。多くの日本人に知られた歌物語。そしてコロナ禍を見つめる音楽家の視点。その全てが見事に調和し、ピュアな力強さとスタンダードナンバーのような懐かしさを兼ね備えたアルバム『音楽はおくりもの』は、デビュー45周年を迎えた矢野顕子が、小原礼(Ba)、佐橋佳幸(Gt)、林立夫(Dr)ら歴戦の猛者と素晴らしいグルーヴを奏でた傑作だ。

リリースに先駆け、矢野は本作についての下記のオフィシャルコメントを発表していた。以下にその全文を引用する。

「辞世の句というものがある。自分が世を去る前にあらかじめ用意しておくものもあるらしい。矢野顕子の場合、『音楽はおくりもの』はそういうものかもしれない。ポップソングを作り続けて何年経ったのかわからないが、こういうものが作れたこと、そして一緒に作り上げる仲間に恵まれて、わたしは幸せです。すっごく」

確かな手応えの背景と“おくりもの”の真意を語る矢野の言葉は改めてコロナ禍を生きる音楽リスナーに“音楽”の存在意義を問いかける。

ーー本作は矢野さんが小原さん、佐橋さん、林さんらと奏でたバンドサウンドですね。

3人とも自分が曲にどう貢献することが出来るかと最大限にアイデアを振り絞ってくれました。それが仕上がりにもしっかりと反映されていたのでアレンジ&プロデュースのクレジットは4人の連名にしました。

ーー矢野さんはニューヨーク在住です。今回のレコーディングはどのように進められましたか?

リモートでミーティングを重ねて、みんなが頭の中で曲について絵を描いてからスタジオに入って「せえの」で一緒に録りました。

ーーこのメンバーでは2018年の「さとがえるコンサート」からライブを共にしてきましたね。


その前からTIN PAN(※細野晴臣、林立夫、鈴木茂。2014、15年とツアーを共にした)とも演っていましたけど、今回の4人になってから、更に「そう、これよこれ!」とバンドサウンドの心地良さに気付かされました。「やっぱり楽しいなぁ」って。だから、このバンドのために曲を書いたら絶対に良いアルバムになると思った。もちろんコロナ禍で考えさせられた事も反映されています。仮に、もしも今がコロナ禍以前と変わらぬ世の中だったとして、それでもあの3人とは一緒に演っていたかもしれないけれど、アルバムの中身はまるっきり変わっていたでしょうね。

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